「ガチ中華」や「ガチ韓国」が注目されている。本場の味や雰囲気をそのまま日本に持ってきた飲食店だ。もとは、留学生などが住む街で母国の味を提供していたようだが、日本風にアレンジしていないのが受け、日本人も通うようになった。各地の料理を網羅したガチ中華マップなどもリリースされている。
食だけではない。9月29日付「朝日新聞」は日本の大学生の声を紹介。「中学時代、中国に抱いたイメージは急激に発展した国」。中国漫画などに興味を持ち、大学では中国の文学や文化を学んでいるという。20歳前後の若者にとって、沈滞気味だった日本の2010年代と比べ、中国や韓国の方が発展した国と映るのも当然かもしれない。
ファッション業界でも中韓のトレンドを取り込んでいる。特にインフルエンサーや個人起業家など、繊維やファッションの知識がほぼゼロからスタートする人たちの場合、先入観がない分、あらゆる国の情報を探す。日本にないような感覚の中国や韓国の素材に新鮮味があるようだ。
日中国交正常化から50年。政治家が公式の場でコメントする「建設的で安定的な関係作り」や、以前はよく聞かれた「どちらが上」論など、堅苦しい言葉はもう古そうだ。国境を超え、良いものは良いという当たり前の感覚を若い人たちが持ちつつあるように思う。