伊勢丹新宿本店の22年4~9月売上高は1474億円(前年同期比38.4%増)となり、08年の統合後で過去最高に達した。新型コロナによる行動制限がなくなり、客数が上向いたことに加え、高額品を中心とした消費が復調している。10、11月も回復基調が続き、単店での年間売上高が3000億円超えが視野に入った。
売り上げ増は外商や年間購買額が100万円以上の自社カード会員の買い上げ比率の向上が要因だ。売り上げに占める自社カード会員の買い上げは18年の39%から現在の54%へ、同様に外商は12%から15%へ拡大した。ラグジュアリーブランドをはじめとした高額品が大きく伸びた。時計・宝飾品の売り上げ構成は18%に高まった。
これらの商品領域はすでに18年実績を上回った。独自性や希少性のある商品を先行・限定販売し、「感動的な買い物体験を提供する」高感度・上質戦略が奏功した。「百貨店の復活に手応えを感じている」(細谷敏幸社長)という。
10月にコロナの水際対策が緩和されたことで、インバウンド(訪日外国人)需要の回復による一段の押し上げ効果が期待される。上半期は中国人消費が18年度の3割程度だった。足元では、中国以外の韓国、台湾、香港からの観光客が好調で、「伊勢丹新宿本店の免税売上高は、ピークだった18年度とほぼ同じ水準」という。