コロナ禍をくぐりぬける中で経営者の事業環境の変化に対する耐性がついてきたと感じる。「前期が悪すぎた」こともあるが、繊維を手掛ける商社の業績が回復してきた。
行動制限緩和による人流の戻りが大きい。ただ事業環境が良くなったわけではない。急速な円安進行、ウクライナ戦争による光熱費の高騰、インフレ…。アパレルOEM(相手先ブランドによる生産)中心にもっと苦戦するかと思ったが、利益は厳しいながらも各社踏ん張っている。
事業環境は変化し続け、一寸先は闇だが、「(そうした状況に)慣れてきた」とはヤギの八木隆夫社長。「外部環境の変化への対応は不十分だが、内部でできることはある」と〝全社最適思考〟をキーワードに営業と管理部門の連携を強めるなど「仕組みでカバーする」体制を作る。
田村駒の植木博行社長は「為替を言い訳にしない」と中間決算資料で「円安」の文言を使わなかった。ただ「輸入と輸出・海外事業のバランスは悪い」ため、海外市場の開拓に力を入れる。「コロナ禍で物作りの強さを中心に置くべきと改めて感じた。仕入れて売るだけでは必要性を感じてもらえない」。東南アジアでの生産背景の充実や住宅事業でのM&A(企業の合併・買収)など、様々な切り口で物作りを事業の中心に置き、付加価値を生む源泉とする。