地方に移住した人の暮らしや働き方を追うテレビ番組・ネットニュースが目立ち始めた。ファッション業界を取材していても、移住して新たなビジネスに従事する人に出会う機会が増えた。昔からよくある、仕事に一段落ついた年配の人たちによる〝憧れの田舎暮らし〟というのとは違い、若い世代が中心だ。
神奈川県出身の櫻井太河さん(34歳)は東京のセレクトショップで店長を経験した後、結婚を機に妻の実家のある長野市へ移住。隣接する長野県千曲市のシャツメーカー、フレックスジャパンに入社して現在、ファクトリーブランド「co:do」(こどう)の責任者を務める。
この企画・開発では、伝統工芸や地場産品など都市部には少ない地域資源にフォーカスし、その魅力を掘り下げている。アパレル・ファッションを通じて長野県の再発見につなげることを目指し、地域にゆかりのある物を素材やアイデアとしてアイテムに取り入れている。
移住と言ってもUターンもあれば、Iターンもあり、住む場所も様々だ。ただ、共通しているのは東京や大阪などの大都市圏で磨き上げた感性や経験を生かし、新たな事業を立ち上げたり、地域の活性化に取り組んだりする人たちが多いこと。仕事も私生活も多様化が進む中、新たな働き方を求めて地方を目指す若い世代が今後も増えそうだ。