《めてみみ》油断は禁物

2023/04/05 06:24 更新


 イトーヨーカ堂がアパレル事業から撤退するニュースが話題になった。ただ、実用衣料は除くという。生活に密着した肌着や靴下は、品揃えに欠かせないとの判断なのだろう。あるインナーメーカーの担当者も、胸をなでおろしていた。

 昨年から今年にかけて、肌着や靴下の市況判断は大きく分かれた。原燃料や物流コストの上昇を背景に、各社は相応の値上げをしてきたが、「食品がこれだけ上がるなら、肌着の値上げも多少なら受け入れられるはず」という声の一方、「食品は日々買わざるを得ない商品であり、肌着は後回しになる。値上げすれば影響は大きい」との声も。

 現時点では、各社の値上げは、一定浸透している様子。数量は伸び悩むものの、単価アップにより売上高を確保できた企業も多い。もう一つ指摘されるのは、肌着や靴下には古着という市場が存在しない点。買う場所、価格は別にして、やはり靴下や肌着は、新品という人がほとんどだろう。

 とはいえ、コロナ下に需要が半減したストッキングのように、何が起こるかわからない時代。まさかとは思うが、もう肌着は着ないという人が出てくることはないか。素材や加工が格段に進歩し、「絶対に汚れない」「いつまでも新品同様」といった商品が開発されることはないだろうか。実用衣料といえども油断は禁物である。



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