6月20日、ユニクロ原宿店の一角にビーズ細工のキーチェーンとブレスレットが並んだ。南スーダンからの避難民女性が手作りしたもので、ファーストリテイリングがグローバルパートナーシップを結ぶ国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携した活動の一環だ。
避難民の手工芸品を流通させ、自立を支援する取り組みで、材料費や物流費、検品などにかかったコストを除いた売上金の28%がUNHCRと作り手の難民たちに渡る。
キーチェーンは税込み1500円、ブレスレットは990円。合わせて2万8000個を国内23店で売る。全部売れても、それで生活が立ち行くほどの対価が難民の手に渡るわけではない。
だが、これを通じて自分たちの伝統技術が生活の糧になり得ると難民たちは知ることができる。ユニクロを利用する客にとっては店に置かれたビーズ細工を目にすることが難民問題を知るきっかけとなる。
12月の「グローバル難民フォーラム」で、共同議長国を務める日本に、UNHCRは「政府だけでなく民間企業も議論に加わってほしい」と話す。全世界に1億人を超える難民がいる理由の一つが戦争や紛争である以上、国同士の議論だけでは問題は解決しない。雇用機会の提供など、社会全体で難民を包括する仕組み作りを民間企業がリードすることも重要だ。