廃棄予定の食品のオンライン販売を主力にフードロスを削減し、事業を拡大しているクラダシ(東京、関藤竜也社長)が6月30日、東京証券取引所グロース市場に上場する。14年の創業で、賞味期限が迫っていたり、規格外など「まだ食べられるにもかかわらず、捨てられる可能性がある」食品をメーカーから買い取り、割安価格で販売、売り上げの一部を社会貢献団体に寄付している。
消費者のSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりとコロナ下の内食需要の拡大を背景に、19年末で約8万人だったサイトの会員数は22年末に46万人を超えた。累計のフードロス削減量は1万6000トン、寄付総額は1億円超。21年からSCなどに期間限定店を出し、今年5月にたまプラーザテラスに初の常設店を出すなどオフラインも強化中だ。
関藤社長は商社出身で衣料品も担当した。起業のきっかけは商社時代に「食品の大量廃棄がいずれ大きな問題になり、解決しなければならない」と考えたためだが、「衣料品を大量生産・大量販売していた反省もある」。「食品と衣料品は仕組みが違うが、ブランドの価値を保つための売り方などで学んだことも多い」という。
「単なる安売りではなく、売ることがロスを減らし、社会貢献にもなる」ビジネスモデル。ファッションビジネスにも参考になる。