都心百貨店で高額品の勢いが止まらない。高島屋や大丸松坂屋百貨店はラグジュアリーブランドの6月売上高が前年同月比3割増だった。大都市の大型店がけん引し、「コロナ禍前の18年比で宝飾品が3倍、ハンドバッグが2倍」(伊勢丹新宿本店)という。
富裕層だけでなく若年層にも広がり、円安の追い風で訪日外国人需要が復調した。「一部の限定品や希少性のある商品は品薄で、納品待ちのお客様が相次いでいる。バブル期にもなかった状況」(大手百貨店)という。一方、地方百貨店はコロナ下もラグジュアリーブランドの増収が続いていたが、ここにきて伸びが鈍化している。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行した大型連休明け以降に顕著になった。東北の百貨店は「地元の店舗でラグジュアリーブランドを購入していたお客様が都心の百貨店や路面店に流れている」と見る。別の東北の百貨店は1月のハイジュエリーブランドの閉店に続き、8月にラグジュアリーブランドが撤退する。
ブランド側は選択と集中で、大幅増収が続く都心店に経営資源を集中する。対照的に、地方百貨店はコロナ禍前に比べて1.5~2倍になった内装費などの投資負担増と回収の長期化が重荷。「ラグジュアリーブランドにもう頼れない」と新たな地方百貨店の在り方を模索する。