今夏、県庁所在地にある比較的大きな商店街を何カ所か訪れた。コロナ禍が落ち着き、行動制限が緩和されたため、どこも通行量自体は戻り始めているようだった。一方、空き店舗数や店の新陳代謝の進み具合には差があった。
A県の商店街は、空き店舗が多いものの食物販店や飲食店など幾つか新店が出来ていた。再出店と思われる全国チェーンのファストフード店もあった。B県の商店街は、全くと言って良いほど新店を見かけなかった。人口や少子化・高齢化の進み具合の違いだろうか。
行った中で、最も人口の多い市の商店街は、空き店舗は現在1店のみという。店舗が空いても、コロナ禍前から、さらには21年や22年も飲食店中心に新規出店が続いている。聞くと、商店街として出店希望者と物件をつなぐ取り組みを続けており、「口コミで案件が来る」そうだ。
「いつの間にか売却され、マンションや家に変わる。全国の商店街で起きていること」とは、その商店街組織の理事長。「いつの間にか」を防ぐため、地権者と対話している。出店者との付き合いも深いようだ。空き店舗状態が続き、最終的には〝住宅街〟になってしまった商店街をいくつも見てきた。商店街に限らず、地域コミュニティーとしての役割を守るためには「人」とのつながりが欠かせないということだろう。