《めてみみ》採用面接

2023/11/02 06:24 更新


 ある繊維企業の人事担当役員が嘆いていた。新卒採用の面接時、「服装や髪型、髪の毛の色、入室から退室までの所作など、みんなほとんど同じ。個性が非常に見えにくい」。

 企業側は服装を含め、学生の個性や人となりを見たいが、学生からすると、「面接時の服装は自由」と言われても、「企業の本心はわからない。あえてリスクは冒さず、無難にいこう」と判断する気持ちも分かる。

 その役員は、たまに変わった質問を投げかけて学生の持つ力を試すことがあるそうだ。履歴書に吹奏楽部と書いていた学生には、よく似た形状の二つの楽器の違いを尋ねてみた。詳細は省くが想定していた答えよりも、「論理的で非常にわかりやすかった」と感心した。この学生には残念ながら内定を辞退されたが、「仕事では想定外のことが日常的に起こる。こうした質問で個性や対応力の一端は引き出せるが、あまりやり過ぎてもいけない」と自制しながらも有効と感じている。

 内定式で「あれ? この人、こんな雰囲気だったっけ」と感じることが多いという。面接の時とは違い、「髪型含め、個性が出ている。これで良い」とうれしそうだ。

 最近は新卒に加えてキャリア採用も増え、社員の入れ替わりが激しい。自社に合う多様な人材を見極める力が、将来の成長を左右すると言っても過言ではない。



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