《めてみみ》静かなストライキ

2023/11/20 06:24 更新


 近頃、ストライキのニュースをよく耳にする。AI(人工知能)利用の規制などを求めるハリウッド俳優や脚本家のストに続き、GMなど米自動車メーカーでも大きなストがあった。自動車関連部材を扱う旭化成や帝人は、ストによる影響について決算で言及した。

 日本ではそごう・西武の労働組合が百貨店事業の継続や雇用継続を求めて行ったストが話題になった。ストライキとは労働条件の改善などを求めて労働者が一時的な労働を拒否する行為で、憲法や労働法でも保障されている。かつては国鉄など公共交通で活発に行われたと聞く。

 一方、テレビ番組で「静かなストライキ」と紹介された現象がある。それは日本の若者の海外への出稼ぎだ。豪州では農場の収穫作業で月50万円稼げると言い、低賃金の日本を離れ、海外に出ていくそうだ。別の番組では、すし職人養成学校への入学が殺到しているとのニュースが流れていた。これも出稼ぎ目的で、ロサンゼルスのすし店の求人が給料月1万ドルというから思わず納得した。

 日本では様々な現場で人手不足が深刻化するが、若い労働力が海外に流出しているとすれば大変だ。23年の国別GDP(国内総生産)で、日本はドイツに抜かれ4位になるとの見通しをIMF(国際通貨基金)が発表したが、出稼ぎ者の送金が国を支える未来をあまり想像したくはない。



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