昨年は物価高や気温の乱高下はあったものの、消費は総じて活発だった。都心の百貨店・SCの年末商戦は、かなりのにぎわいぶり。結果発表はこれからだが、おそらく12月単月の売上高は多くの施設がコロナ禍前を上回ったのではないか。
「5類」移行後の消費の回復はしばらく続きそうだ。年末に会った業界のトップもほとんどが、この傾向が続くと見ていた。ただ「良くなる」とも「悪くなる」とも言えない様子も。その背景の一つに物流の24年問題がある。「物流コストは高まる一方だろう」とあるトップ。物流に限らず、人手不足の経営への影響が顕在化したことも大きい。
「人的資本経営」が広まりつつある。「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」だそう。人材は人手やコストではなく活用すべき資本というわけだ。「言うはやすし」だが、オペレーションの効率化だけでは収益性の改善に限界があるのも確か。
「売り場・商品基点から顧客基点に」または「個客業へ」と変革を進める百貨店。「チャネル軸から顧客軸」に出店戦略を変更したアパレルメーカーもある。立地や商品よりも「顧客」重視なら、それに対応できる「人的資本」が一層欠かせないはず。昨今のビジネスモデルの変革が、その推進を後押ししそうだ。