繊維5団体の新年名刺交換会が大阪で4年ぶりに開かれるなど商社のトップや幹部と会う機会が多かった。話題の中心は能登半島地震。協力工場など取引先の状況把握に加え、子会社工場の建屋の一部が損傷した企業もある。
本紙元日付「経営トップアンケート」の「24年の繊維・ファッション市場の見通し」は、「変わらない」が半分、「良くなる」が3分の1、「悪くなる」が1割だった。前年より「変わらない」の割合が増えた。一方で辰(たつ)年にちなみ、飛躍の年にしようと願う人も多いはず。しかし、新年早々すでに想定外のことが相次いでいる。本来なら新年をことほぐ会でも、消費意欲の冷え込みを心配する声をよく聞いた。
帝人フロンティアの平田恭成社長は「昨年はコロナ禍からの回復もあり堅調だったが今年はその反動があるのでは」と慎重に見る。「経営を安定させるには何本かの柱が必要」なため、衣料繊維、産業資材に加え、スマートセンシング事業など新規で「新たな高収益モデルを創出する」と第3の柱作りを急ぐ。ヤギの八木隆夫社長は、社員へ「今年をグローバル元年にしよう」と呼びかけた。海外事業の本格拡大に向け施策を充実する。
コロナ禍を乗り越え、各社とも変わり続ける事業環境への対応力は増した。それでも「いつ何が起こるかわからない」。今年も様々な手を尽くす。