今年は世界的な「選挙イヤー」だ。それらの結果によっては大きなリスクにもチャンスにもなる。すでにバングラデシュでは総選挙、台湾では総統選が行われた。バングラデシュでは、ハシナ首相率いる与党のアワミ連盟が勝利した。08年からの長期政権がさらに続く。
バングラデシュの主要産業は縫製業。輸出の8割超を衣料品が占め、世界第2位のアパレル輸出国に成長した。最低賃金が4年ぶりに改定され、一般縫製工の最低賃金が従来から約1.6倍引き上げられる。26年11月には国連が定めるLDC(後発開発途上国)から卒業する予定で、特別特恵関税の恩恵がなくなる。安さを追求するビジネスモデルの限界が近づいている。
選挙イヤーに話を戻そう。2月にはインドネシアで、3月にはロシアで、11月には米国で大統領選挙が行われる。トランプ氏が大統領に返り咲くことがあれば世界の混迷はさらに深まる。EU(欧州連合)でも欧州議会選挙がある。右派が力を強めているようで、結果によっては欧州の協調が崩れかねない。
この間進んだヒト、モノ、サービス、カネなどで国境がなくなるグローバリゼーションが転機を迎え、自国第一主義に振れる動きが強まっている。脱中国の動きも活発化する。世界潮流の大きな変化に応じてサプライチェーン、海外戦略なども変わらざるを得ない。