2月1日は米国では「自由の日」。1865年2月1日にエイブラハム・リンカーン大統領が奴隷制全廃を定める憲法修正13条に署名した日にちなむ。
「奴隷」という言葉を教科書以外で初めて見聞きし、ギョッとしたのを覚えている。商社のCSR(企業の社会的責任)担当者が、15年に英国で制定された「現代奴隷法」を例に挙げ、「サプライチェーンの中で強制労働や児童労働などが行われていないか注意、監視し続ける必要がある」と話していた。
あれから約10年。企業がサプライチェーン上の人権リスクを特定し、防止・軽減、情報開示する人権デューデリジェンス(人権DD)の視点が欠かせなくなってきた。
国際労働機関(ILO)は4年に一度、世界の児童労働者数の推計を発表する。20年の調査では児童労働者(5~17歳)は1億6000万人。世界の子供人口(同)の約10人に1人が児童労働している計算だ。児童労働の半分以上はサハラ以南の南アフリカだが、東・東南アジアでも全体の15%強を占める。日本を含む高所得国にも160万人の児童労働者が存在する。
「奴隷なんて大昔の話では」と以前は思っていたが、強制労働や児童労働など現代における奴隷労働は今なお存在する。こうした現実から目を背けるべきではないし、背けること、知らないことが大きなリスクにつながる。