《めてみみ》変わるインバウンド需要

2025/06/20 06:24 更新


 「アジア圏以外の立ち寄りが増えている」「これまであまり見かけなかったアラブ系、ヨーロッパ系が買い物というより観光に来ている印象」「アジア系、欧米系など幅広い」。大阪の複数のファッションビルが、5月の商況でインバウンドの客層の広がりを指摘していた。免税売上高の増収も続いている。

 一方で、ラグジュアリーブランドなどの高額品がけん引してきた百貨店の免税売上高は大幅な減少が続く。「富裕層の次のミドルアッパー層が来ているのではないか」。ある百貨店も国のバリエーションの広がりと客層の変化を指摘する。免税の件数は伸びているものの単価は落ち込んだままだ。

 日本政府観光局によると5月の訪日外客数の推計値は369万人。通常は客数が落ち着く時期のようだが、韓国、中国、台湾、米国、フィリピンなど21カ国・地域で5月の最高を更新した。

 先の百貨店では最近、包丁や切り子のグラス、南部鉄器の急須などへの関心が高まっている。ファッションビルは、これまでも人気のあった眼鏡が軒並み5月の好調テナント上位に入った。

 暑さが増す中、ハンディーファンや扇子などの購入も増えているようだ。これまでインバウンドを意識していなかったような分野や商品にも注目が集まってきた。客層が広がれば、訪日目的も、購入・体験するモノ・コトも多様化する。



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