大丸梅田店が昨年11月に開設した女性向けの新ゾーン「ミチカケ」が、これまでにない売り場として注目されている。化粧品やアパレルなど、従来の百貨店で提案してきた「表層的な欲求」に加え、生理や性の悩みなど「深層的な悩み」の解消を目的に掲げてショップを構成。フェムテック市場が盛り上がりを見せるなか、ミチカケの動向は今後の品揃えのヒントになりそうだ。
(金谷早紀子)
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レディスヤングゾーン「うふふガールズ」の5階を一部リニューアルしたこともあり、客層は20~30代が中心で、親子や若いカップルの来店も多い。国内でも珍しい売り場のため、テレビ番組などメディアに取り上げられることも多く、新規客獲得につながっている。
好調ショップは、オープン前の期間限定店でファンを獲得していた「イロハ」と「ムーンドバイエルピーシー」だ。イロハでは、9900円のセルフプレジャーアイテムが売れている。主力のECでの売れ筋は1000円台だが、百貨店という特性や悩みに対応した接客を重視しており、高単価な商品も動いている。ムーンドバイエルピーシーでは、NHKでも紹介された液体を吸収する5000円台のサニタリーショーツが人気。20代から尿漏れに悩むミドル、シニア世代まで幅広くつかんでいる。ついで買いでミドル世代以上に売れているのが、デリケートゾーン用保湿ローション(3000円)。百貨店という安心感からか、「ショーツが擦れて痛い」「自転車に乗るのが苦痛」と自ら悩みを打ち明ける客が多いそうだ。
美容睡眠ブランド「ニューミン」では、オリジナルタオルが売れている。髪の水分をより吸収しやすい織り柄で、髪の長さに合わせたサイズ展開。ロングヘア用で2700円。髪の傷みを気にする人が購入するほか、ギフト需要もつかんでいる。
■フェムテック
女性の健康に関する問題をテクノロジーを使って解決するサービスのこと。生理や妊娠に関するものだけでなく、メンタルヘルスや閉経、更年期障害など、包括的な女性の健康をケアするサービスを指す。海外では、市場規模が25年までに約5兆円に成長すると予測されている。日本でも今秋、フェムテック企業向けのファンドが発足し、運用規模25億円を目指している。