話題の「服の鉛筆」はどう生まれたか 縫製工場ミヤモリ、裁断くずを持続的な発展へ

2024/02/28 14:00 更新会員限定


「服の鉛筆」

 裁断くずが鉛筆の材料に――。23年度の「日本文具大賞」サステイナブル部門の優秀賞に選ばれ、話題になった「服の鉛筆」。これを販売するのは創業58年の縫製工場ミヤモリ(富山県小矢部市)だ。同社は「地球温暖化に対し、縫製業としてできること」として考えたアイデアを一つひとつ形にしている。その一つが服の鉛筆。社会・環境課題にのっとったユニークなアイデアに関心を示す企業が増えてきた。こうした取り組みを企業価値の向上、ひいては縫製業の持続的な発展につなげたい考えだ。

毎年20トンの裁断くず

 「裁断くずを何とかしたい」。これは「長年の課題だった」と宮森穂代表取締役専務。同社はスポーツウェアや学校体操服を中心に年間で約60万枚を生産している。生産過程で生地の約20%は裁断ロスが発生するという。その一部は自社製品を作ることで有効活用できた。とはいえ「どうしても再利用できない裁断くずが年間で約20トン」あった。

 そんななか、街中で偶然見かけた炭のオブジェ。これがひらめきを生んだ。「裁断くずを炭にして使えないか」。富山県繊維協会に相談すると、小矢部市内に炭化装置を作る企業があることを知る。その企業に協力を呼びかけ、鉛筆芯に活用するアイデアにつながった。

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