【今日は何の日?】森鴎外はフロックコートを着たか

2017/08/24 04:23 更新


 1884年8月24日は森鴎外がドイツに向けて発った日です。明治17年、22歳の時のこと。

 森鴎外こと森林太郎は軍医でもあり、また作家でもありました。それ以前に、ひとりの男でもあったのです。小説『舞姫』は主人公の太田豊太郎とドイツ人少女エリスとの淡い恋物語。この主人公が森鴎外の分身であることは、まず間違いないでしょう。

 事実、ベルリンでは『舞姫』のもとになる出会いがあったようなのです。エリスのモデルは、エリーゼ・ビゲルトだと言われています。エリーゼと思われる人物は明治21年に来日もしています。

 それはともかく、『舞姫』を開いてみると。「丁寧にしまひ置きし『ゲエロツク』といふ二列ぼたんの服を出して着せ…」。もちろんこれは豊太郎が服を着る場面。「ゲエロツク(gehrock)」はフロックコートのこと。1880年代の昼間、フロックコートを着るのは当たり前だったのでしょう。ベルリン滞在中の鴎外も、フロックコートを着ていたのかもしれませんね。(服飾評論家・出石尚三)

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