SNSなどデジタルツールで簡単につながれる時代だからこそ、逆にリアルな店舗空間やイベントでの体験共有だけでなく、印刷物というアナログな手法の方が心に届くことがある。石川県加賀市郊外の田園地帯にセレクトショップ「フェートン」を構えるファッツスクエアカンパニーの坂矢悠詞人代表は「〝ひそひそ話〟が一番効く」と強調する。限られた範囲での閉じたコミュニケーションを追求する地方の個店の地道なファン作りが実を結んでいる。
(大竹清臣)
「なぜ、紙媒体を作るのか」との問いに、坂矢代表は「不特定多数に向ける発信は、正直、効き目が弱いと思っている。うちの商品を気に入ってくれたお客様へは、ダイレクトに効く内容。それは、メディアの本質的な部分でもある」と答える。
SNSは見ない
デジタル化が加速する現状について「情報アクセスがイージーになり、自分自身が、あまり検索サイトなどを利用しなくなった。SNSは特に典型的で、発信はするが、見ることはあまりない」と話す。続けて「見るとしても、フォロワー数が多い方の情報に興味がない。というと語弊があるかもしれないが、100万人が入手する情報は誰かに任せて、フォロワー数が少ない方の情報に価値を見いだしている」と言い切る。さらには「情報過多になればなるほど、フォロワーの数は負債になっていく」ともいう。
この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。
すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!