107回目となる「ピッティ・イマージネ・ウオモ」が1月14~17日にフィレンツェで行われた。4回にわたって現地報告をする。
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「機は熟した」か
12年に日本の6ブランドを出展させたことがあるが、当時出ていたブランドは、サイズだけでなく商習慣の違いなどで話が合わなく、数年でこの企画は終わってしまった。私の力が足りなかったこともあった。
当時は日本での販売が最重要で、その延長線で海外進出を目指すブランドが多かった。それも助成金頼りの面があり、出なくなったら出展をやめてしまうなど、継続できないことが多かった。しかし最近は、本気で海外市場の開拓を狙っているブランドが増えたように感じる。「機が熟してきた」と私も日本ブランドの海外での販売に再び力を入れている。
ここ数年、ピッティ・イマージネ・ウオモでは「Jクオリティー」ブースが設けられ、日本の素晴らしい技術を持った工場がまとまって出展するようになった。工場の代表者と話をする機会がたくさんあったが、自分たちの物作りに誇りを持っている工場がとても多いと感じた。
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これまで多くの日本ブランドの手伝いをしてきた。意識していたわけではないが、現在まで継続して海外進出を手伝っているブランドは全て自社工場を持っている。その理由を考えてみる。海外では日本では販売されないようなサイズが売れたり、デリバリーのタイミングがバラバラだったりするのは珍しくない。自社で製品を作っているブランドの場合、様々な状況で融通が利く。これがブランドの強みになる。
自分たちで生産した製品を直接店に納品することもあり、不良品も少ない。現在では製品が良いのは前提。加えて、どのようなサービスを提供できるのかも「付加価値」として重要視されるようになった。
工場ならではの強み
担当しているブランドの販売のために欧州の多くの店を訪問しているが、日本のブランドを扱っていると言うと、ほとんどのバイヤーは商品を見てくれる。日本のブランドに対する期待やクオリティーに対する信用はとても高い。
イタリアでは工場ブランドが成功する例は珍しくない。日本ではまだあまり見かけないが、今後多くの工場発ブランドがたくさん出てくれないかなと期待している。日本の工場は廃業したり規模を縮小したりしているようだが、日本の物作りの技術は世界でも通用する。この素晴らしい職人技術を無くしてはいけないと思う。
(坪内隆夫=ミラノ在住ファッションコーディネーター)
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