好調店の店長はパワフルだ。店長としての職務を全うしながら、プラスで責任ある仕事を一つも二つもこなしている。原動力は憧れの販売員から受けた接客の記憶。そして、ブランドや接客が好きというピュアな気持ちだ。
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バロックジャパンリミテッドの「リエンダ」で働く植竹玲菜さん。ECの着用モデルや公式インスタグラムのライブ配信などに出演し〝ブランドの顔〟として活躍しながら、社外のロールプレイング大会で2年連続上位入賞するなど、接客技術にも定評がある。4月には旗艦店「ルミネエスト新宿店」の店長に就任した。多岐にわたる業務をこなす植竹さんに、やりがいやブランドへの思いを聞いた。
憧れのブランドで
学生時代からリエンダの新宿店に通っていたことがきっかけで、18年に新卒入社した。はじめは違うブランドに配属されたが、上司の推薦で20年にリエンダに異動、渋谷109店を経て、21年からルミネエスト新宿店に移った。
「スタッフの接客は丁寧で、自分が買ったアイテムも覚えてくれていた。なにより、いつも楽しそうに働いていたのが印象的だった」。当時受けていた接客を自らも提供できるよう、普段から心掛けている。
フェミニンな服を求めてリエンダに訪れる客が多いが、好みやスタイルは人それぞれ。植竹さんはその中で、一人ひとりに似合う一着を見極めるのが得意だ。そのため顧客は20代から50代と幅広く、「植竹さんの接客を受けたい」と通う客も多い。
店頭に立つ傍ら、ECモデルや公式SNSに出演する「オフィシャルスタッフ」も務める。「好きなブランドに入ったからには、自分の存在をもっと示したい」という思いで立候補し、選ばれた。全販売員108人の中でも4人のみの狭き門だ。閉店後にスタイリング写真を撮るなど、限られた時間の中で工夫を重ね、個人のインスタグラムのフォロワーも1万4000人まで増やした。
忙しさにやりがい
この春、店長に就任した。オフィシャルスタッフとの兼務はリエンダで初めて。新宿店は来店客数が多く、平日の夕方や土日は接客対応に追われる。旗艦店ならではの限定イベントや催しも多い。忙しい日々だが、むしろ「一番やりがいを感じるのは店頭が最も忙しくなるピークタイム」だという。「全員でうまく店を回し、大きな売り上げを取れた時の達成感は大きい」。

バロックジャパンリミテッドで働く魅力について「同世代が多く、距離が近いから、学校や部活の青春みたい」。ただ、「楽しく仕事を頑張れる環境」だからこそ、スタッフとのコミュニケーションを最も大切にしている。特に店長になってからは「役職が付いたことで距離ができないように」と、昼休憩をできるだけアルバイトの学生と一緒に過ごしたり、社員との定期面談を設けたりと、密なやりとりを心掛けている。
「商品に対するお客様の反応を直接見られる」ことが店頭に立つ醍醐(だいご)味だという。オフィシャルスタッフと店長を両立し、「みんなが認めてくれる存在になって、大好きなリエンダに貢献したい」と話す。
■ここがすごい!
「オフィシャルスタッフと店長、どちらかだけでも大変なのに、それを両立しているところ。社内総会でも司会をしてくれたり、ブランドの中でも目立つ存在です。他ブランドでも、彼女に憧れているスタッフは多く、継続して努力する姿勢は手本となる存在です」(営業販売本部販売統括部エリアマネージャー)
(繊研新聞本紙25年7月16日付)