アパレルEC向け販促サービスのSally127(サリーワンツーセブン、東京、鳥巣彩乃社長)のAI(人工知能)とAR(拡張現実)技術を利用したバーチャル試着サービス「アパレルEC向けバーチャル試着プラットフォーム」が好調に取引を増やしている。アプリを介さずにARで試着ができる独自技術や感性に訴える見せ方が評判となり、ブランドだけでなく商社との取り組みにもつながり始めた。
アパレルEC向けバーチャル試着プラットフォームがスタートしたのは今年4月。ECの商品ページに埋め込む形で利用可能で、身長とウエストとヒップの数値を入力するだけで簡単に3Dモデルを使ったAR試着が楽しめる。
鳥巣社長は同サービスの特徴について「バーチャル試着では〝可愛い〟と思わせる感性の部分が重要。たとえば、3Dモデルと人間が重なった時に違和感が出ないよう、自動で肌の風合いを整えるシステムを組み込むなど工夫している」と話す。AR試着サービスに多く見られる、3Dモデルに不自然な振動が出やすいという問題も独自技術で軽減させている。
ウェブブラウザで試着できるのも強みだ。「アプリをインストールする1クッションがない分、離脱率が下がる。ブランドの世界を表現したサイトの雰囲気を崩さずに導入できる点も評価されている」(鳥巣社長)。
販売開始約3カ月で取引は順調に増えている。小規模なファクトリーブランドから有力DtoC(メーカー直販)ブランドまで幅広く導入が進み、商談中の大手企業も複数あるという。
今年7月には豊島との取り組みもスタート。豊島の24年春夏展示会で、TISのAI骨格診断システム「ニアイノ」と組み合わせ、骨格診断から似合う服を紹介しAR試着につなげるスキームを紹介した。
豊島が展示会で提案している服の一部をアパレルEC向けバーチャル試着プラットフォームで試せるコーナーも設置した。QRコードで専用サイトを読み込んでおくことで、後で会場以外でも簡単に試着ができるのもアプリを介さない同サービスならではだ。
渡辺哲祥豊島デザイン企画室室長兼DX推進室室長は取り組みについて「使いやすさや感性に訴える見せ方など消費者目線のサービス開発に可能性を感じた」とし「取引先にとって新たなアイデアを生み出すヒントになれば」と語った。