セレクトショップが都心、郊外の双方に出店している業態で、オリジナル商品の品質を上げ、価格帯も引き上げる動きが目立つ。定番で大手SPA(製造小売業)、トレンド商品でファストファッションを利用する消費者が増えているため、デザイン、縫製、素材などの面で価格と価値のバランスを見直した商品を増やし、改めて集客を狙う。売れ行きは好調で、客単価が上昇している業態もある。
顧客の要望から
ユナイテッドアローズの「グリーンレーベルリラクシング」は、昨秋冬にオリジナルの新ライン「エラン」をスタートした。オフィス立地の店舗でスーツなど通勤に使うウエアを買い求める顧客から寄せられた「もっと上質でカジュアルな服があれば」という声に応え、開発した。
レディス、メンズ双方で、カジュアルの軸になるアイテムにトレンドを意識しながら、インポート素材で作るなど、グレードを上げることにした。シャツで通常のオリジナルが7000~8000円程度に対し、1万2000円。アウターも2万~2万5000円に対し、2万8000~3万5000円と、1.3~1.5倍程度の価格にした。
昨秋冬は、丸の内、渋谷、新宿、二子玉川の4店のみで販売したが、価格帯を上げたにもかかわらず、目の肥えた客層を捉え、売れ行きが好調だった。今春夏は8店に広げ、ネットでも販売することにした。今後も商品や店舗数を広げる考えだ。
一格上の普段着を
ベイクルーズでは「ジャーナルスタンダード・レリューム」の業績が伸びている。都心のファッションビルだけでなく、郊外SCへも出店するために開発した業態。スタート当初は、同じアメカジを軸にする「ジャーナルスタンダード」よりオリジナル商品の価格帯は低めに設定していた。ただ、郊外SCなどでは大手SPAやファストファッションなど規模と価格競争力で勝るストアとの競合を強いられるため、「2年前から一格上の普段着を目指し、定番のレベルアップに取り組んだ」。
リラックスして着られるユニセックスのアメカジというコンセプトは維持しつつ、トレンド商品以外の定番では、生産ロットを増やし、品質を上げながら、価格を抑えた。「ボタンダウンシャツなら、8500円で1万2000円相当の価値に、Tシャツでは2000円で4000円まで価値を高めた」
結果、SC立地では主婦層の買い上げが増えた。都心立地でも定番のクオリティーを上げたことで、メーンターゲットの35歳~40代だけでなく、20代の来店が増えた。客単価の上昇に伴い、価格帯も徐々に上げていった。現在、オリジナル商品に関しては、すでにジャーナルスタンダードとレリュームでほとんど価格差はないという。
レリュームは15店。14年8月期は増収で、既存店売上高も前年実績を超えた。上質なアメカジの定番を軸に、今後も出店を拡大する考えだ。
(繊研 2015/03/25 日付 19205 号 1 面)