シップスは、東京・江東区の物流拠点「シップスコントロールセンター」で自社EC向けの個別配送業務を内製化し、サービス向上につなげている。一部工程は機械化し、出荷処理能力は1日あたり約1200~3000点規模へと拡大。繁忙期の出荷遅延などの課題も解消した。
同センターは、全国の店舗とECの在庫を管理し、各チャネルへの商品供給の大部分を担っている。これまで自社ECで購入された商品は、倉庫内でピッキングした後、別拠点に移送し、梱包(こんぽう)や出荷処理を外部委託していた。外部業者には午後2時までに荷物を渡す必要があり、作業の制限があった。特にセールやキャンペーン時など注文が集中する時期では、出荷が遅れるケースもあった。19年比で売上高が50%以上伸びた自社ECの成長に、外注体制では対応しきれていなかった。
そうした課題を受け、24年7月、出荷工程の内製化と機械化を実施した。ピッキング後、RFID(ICタグ)で商品情報を読み取り、注文に応じて仕分けする。サイズに適した段ボールをスタッフが選定、商品を梱包し、コンベアで搬送。封緘(ふうかん)や納品書・送り状の貼付などは新たに導入した機械で自動処理する。
倉庫全体ではスポットワーカーの活用が進んでいるが、梱包作業は自社スタッフが中心となって対応している。「ミスが起これば、そのままお客様に迷惑がかかる工程なので、自社でより丁寧に対応している」と今村祐介商品管理部部長。
内製化により、発送方法の選択肢も広がった。これまで外部では使えなかったヤマト運輸の「宅急便コンパクト」も導入可能となり、小型商品の配送が効率化。人件費や外注コストの削減とあわせて、商品1個あたりの出荷コストは約15%低下した。
今後は、「注文をできるだけ早く正確に届けるという基本を大切にしながら、災害時のBCP(事業継続計画)対策、環境配慮などにも取り組んでいきたい」としている。
■シップス「シップスコントロールセンター」
延べ約9900平方メートル5階建て。首都圏から全国への商品供給を担う。物流スタッフは約60人、品質管理5人、EC関連40人、CS(顧客満足)関連5人。