3月~6月にかけて、世界屈指のコマースプラットフォームを提供するShopifyはトークイベント「Shopify Partners ロードショー: Scale your commerce with Shopify」を開催致しました。
「すべての人に、より良いコマース体験を」のミッションのもと、世界トップクラスのコマースサービスを提供してきたShopifyがパートナー企業と、そのマーチャントをフィーチャーし、課題解決やShopify導入のプロセスについて掘り下げていく全4回のイベントで、今回は4回目に開催したイベントのレポートになります。
既存のECプラットフォームに課題を感じている方や、アパレル企業のEC責任者の方、D2F(Direct to Fan)またはD2Cビジネスを展開されている企業の皆様にとって、必聴の内容となっています。ぜひご一読の上、自社の施策にお役立てください。
7月18日より、新シリーズ「Shopify Partners ロードショー Season2」がスタート。こちらもお見逃しなく!
【第4回】Shopifyで叶える、あらゆる産業のD2F(Direct to Fan)×エンタメ型消費(2024年6月18日)
<セッション1> 「スポーツ×ライブオークション Shopifyによるスポーツクラブの“強さ”に限らない魅力発信」:登壇者/琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社 代表取締役会長兼社長 早川周作 氏/アビームコンサルティング株式会社 顧客価値創造 戦略ユニット Sports&Entertainment 執行役員 プリンシパル 久保田圭一
セッション1では、プロ卓球リーグ「Tリーグ」に参戦するプロチームの運営やスポーツバル、卓球物販ECサイト運営などを運営する琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社より、早川周作さんが登壇。同社ではアビームコンサルティング株式会社が運営するShopifyのライブオークションプラットフォーム「Sports Fun Portal」を通して、スポーツクラブのライブオークション事業を展開している。
「Sports Fun Portal」では試合のライブ配信を見ながら、リアルタイムで視聴者が応援メッセージを送ることができる。試合後のライブオークションでは、選手の等身大バナーやサイン入りTシャツが飛ぶように売れるという。落札した商品は通常の配送以外に「会場受け取り」も選択でき、配送料を削減しつつ自然な流れで来場を促せる仕組みだ。
「ライブ配信やオークションでは、今まで見られなかった私服姿やトークなど『選手たちの素の様子』が見られる。ちょっとドジをしたり、リラックスして楽しく喋ったりしている姿がファンには好評。選手たちも自分のグッズに付加価値がつくことで自信が持てて、モチベーションに繋がっています。ライブオークションを通じて試合以外のところに価値が生まれ、マネタイズできる上に、チームの価値も上がっていくという好循環が生まれています」と早川さん。
アビームコンサルティング株式会社の久保田さんからは、ライブオークションという仕組みがもつ可能性についての解説があった。
「ファンが試合観戦のためにスタジアムへ行く移動時間やハーフタイムなど、チームへのロイヤルティが高い時間をマネタイズするのにライブオークションは最適。たとえば試合後に、選手が着ていたユニフォームをライブオークションで販売すれば、試合の余韻を楽しみたいファンが買ってくれる。試合後の姿をライブ配信することで、選手たちの今まで見えなかった魅力も可視化でき、さらなるファン獲得にもつながります」と久保田さん。
関係者にとっては価値を感じられず捨てられてしまうようなモノでも、ファンにとってはお宝というケースは多い。例えばヴィッセル神戸の試合で、廃棄予定だった選手の写真ボードが高額で落札されたり、鉄道関係でJRの廃棄車両の看板が高く売れたケースもあるという。「これまで廃棄されていたモノに対する価値の算定は、SDGsの観点からも大きな意義がある」(早川さん)。
眠っていた魅力の発掘にもつながるライブオークションは、多くの業界でマネタイズやさらなるファンの獲得につながる新たな収益源となりそうだ。
<セッション2> 「D2F(Direct to Fan)×エンタメ型消費 あらゆる産業で重要となるファンタイプと消費行動に迫る!」:登壇者/アビームコンサルティング株式会社 顧客価値創造 戦略ユニット 顧問 本間充/アビームコンサルティング株式会社 顧客価値創造 戦略ユニット Sports&Entertainment 執行役員 プリンシパル 久保田圭一
セッション2では、アビームコンサルティング株式会社の本間さんと久保田さんが、ライブオークションプラットフォーム「Sports Fun Portal」の運営から見えたエンタメ型消費とD2F(Direct to Fan)の重要性、さらにはShopifyによる実現のポイントを語った。
久保田さんによると、ライブオークションに象徴的なエンタメ型消費には「シンプル、エモーショナル、スペシャル」という特徴があるという。生配信やスポーツ選手らとの交流ライブは視聴者のエモーショナルに訴えることができ、かつ遷移が少ないサイト構造で購入できるシンプルな仕組みで、スペシャルな一点ものを提供する。この3つが揃うことで、購入者の「悩む時間」を減らすことができる。「エンタメ型消費は、ライブオークションだけでなく日本のEC全体において使える仕組み。この要素を日本オリジナルのモノやコンテンツに応用すれば、日本経済の活性化にもつながっていくと思う」と久保田さん。
また本間さんによると、今後のEC構築には「マスマーケティングの売れ筋商品だけでなく、ニッチな需要に応える商品をいかに提供できるかが重要」という。ECは店頭に在庫を抱えておく必要がないため、一般的には売れないが一部の人に強く支持される商品を売る場としては「店舗以上に重要なプラットフォーム」だと指摘する。
消費者ニーズの変化は早い。そのスピードに対応するには「Shopifyのような拡張性、柔軟性に優れたECプラットフォームが欠かせない」と本間さん。今後もコンサルティングを通して、エンタメ型消費の訴求をしていきたいと語った。
<セッション3>「販売チャネル多様化に伴うエンタメコマースの最適化」:登壇者/フリュー株式会社 世界観事業本部 キャラクターMD物販事業推進部 物販部 EC課・課長 保坂 謙太氏/Shopify Japan株式会社 シニアビジネスディベロップメントマネジャー 泉 貴文
セッション3では、プリクラ業界最大手で、スマホ向けアプリやゲーム、アニメなどのエンターテイメント事業も展開するフリュー株式会社より、世界観事業本部の保坂さんが登壇。同社では受注生産型のECを展開しており、アニメやゲームのキャラクターグッズを販売している。販売チャネルが多様化する中、商品開発前のマーケティングをどのように行っているのか。
「新しいブランドやラインを検討する際は、学術機関とも連携して詳細なユーザーアンケートを行います。いざ受注前にはSNSでの告知はもちろん、Shopify上の商品ページを用意して購入前にお気に入りをしてもらい、購入前に期待のレビューを書き込めるようにして、ワクワク感を醸成できるような工夫をしています」と保坂さん。商品を手に入れるまでの間に「待ってました」「フィギュアが大好きだったので絶対買います」などのコメントを共有してもらうことで、ファン同士の交流が生まれる。購入前からポジティブな体験を高められるように設計しているという。
フリューではShopifyアプリを活用し、マーケティングオートメーションツールと連携して顧客体験の分析も行っている。さまざまな施策を行いながらPDCAサイクルを回すには、Shopifyの拡張性が必要不可欠だ。「スクラッチで開発を行うと、保守費用で開発会社に毎月何百万円も予算を確保しておく必要があったり、新しく機能をつけたいと思った際にも保守費用がかかったりする。Shopifyならアプリの月額費用を払うだけなので、コスト面でもかなり助かっています」(保坂さん)
セキュリティの高さも魅力だ。Shopifyのセキュリティは世界基準で、サーバー負荷が強く「フラッシュセールのグローバルな購入にも問題なく対応できる」と泉さん。フリューでは海外展開も視野に入れており、Shopifyのグローバル対応機能を活用していく予定だ。
<Q&A>ライブオークションは投資ではなく、ファンへのマーケティング
最後に行われた質疑応答では、琉球アスティーダの早川さんに対して「ライブオークションで落札された商品の転売についてはどう考えているか」との質問が寄せられた。早川さんは「転売の実態はなかなか把握できていない」としながら、「スポーツの応援のあり方を短期消費から長期のものに変えていくという視点において、選手の知名度アップとともにオークション市場での価値が上がっていくことは、決して悪いことではない」とコメント。
また「ライブオークションと、いわゆる美術品等のオークションの違いは何か」との問いに対し、早川さんは「美術品やワインなどのオークションは投資が前提となっている。一方の国内スポーツにおけるライブオークションは投資ではなく、ファン獲得のためのマーケティング。選手のストーリーに新たな価値を付与し、さらに多くの方によりファンになってもらうための仕組みだと考えている」と回答した。
※Season2のイベントレポートも随時更新します。詳しくはこちらから。
お問い合わせ先
Shopify Japan株式会社 パートナーマーケティング
担当者:佐野
Mail:roadshow-partner-mktg@shopify.com
企画・制作=繊研新聞社業務局