7月の最終週、夏休みに入った小学生を対象に服飾系専門学校やファッション業界団体が服や雑貨作りの体験講座を開催した。多くの専門学校が入学者確保を目的に高校生向け体験入学を行う時期だが、最近は小学生向け企画も増加。「ファッション業界志望の若者が減る中、早期に物作りやデザインの楽しさに触れ、ファッションに興味をもつ子供が増えてほしい」との切実な思いがあるようだ。
日本アパレル・ファッション産業協会は学生団体連合、東京ファッションコミュニティーと組んで7月28日、アパレルの廃材を活用したトートバッグ作りの授業を行った。文部科学省主催の霞が関子ども見学デーに参加する形で、地域や産業界と連携して土曜授業を推進する〝土曜学習応援団〟の出前授業の一例として同省で実施。募集開始から数日で定員の倍以上の応募があり、28人が参加した。
日本アパレル・ファッション産業協会のバッグ作りの出前授業
先生役はファッション団体で活動する大学生10人が務め、会員企業の人事担当者も要員として参加。子供たちは無地のトートに、布の端切れで作ったリボンやボタン、ファスナーを貼り付け、思い思いのデザインを楽しんだ。これを機に同協会は人材育成事業として、ファッションの消費や就業意欲の促進を意味する「職育」の土曜授業を学生団体連合と協業で首都圏各地の学校で実施していく考えだ。
ドレスメーカー学院はドレスメーカー服飾教育振興会主催、品川・目黒区の教育委員会の後援で7月28日、「ドレメ・キッズスクール」を開いた。対象は両区の公立小5、6年生で、今回が11回目。小学生も、1対1で指導する同校の在校生も定員を15人ほど上回る応募があり、先着順で各35人が参加した。
ドレスメーカー学院「ドレメ・キッズスクール」
プロ用の道具を使い、昼休みをはさんで約2時間半でフレアパンツかハーフパンツを製作。服地コンバーターのサンウェルから提供を受けた生地を使い、型紙に合わせて裁断し、ロックミシンで縁をかがり、ミシンで縫製、アイロンかけまでを体験した。完成品は自らモデルになってショーで披露した。
同校は「本格的な物作りの体験の場を提供する社会貢献と、洋裁教育の振興活動の一環として開催している。今後も続けたい」としている。
文化服装学院は7月28、29日、小学生向けファッション講座「プチ・セミナー」を開いた。高校生を軸に中学生や大学生も対象とする入学体験イベント「サマーセミナー」の一環。「次の世代にファッションに興味をもってもらう取り組みも必要」と2年前から小学生向けも開始し、夏休みの自由研究として提案。今回は2講座で120人を募集し、受付開始後数日で定員が埋まる人気だった。
教員が指導し、学生がサポートに入る形で運営。アクセサリー講座では、墨田区の町工場で物作りの過程で出る廃材と、文化服装学院の学生が作った服の端切れを使い、樹脂で固めてキラキラのアクセサリーを製作。服作り講座では裁断した生地を用意し、参加者は縫製とアイロンプリントやレース、リボンでアレンジを行い、Tシャツやスカート、パンツを作った。最後に大ホールで、在校生が演出するショーにモデルとして参加。自由な物作りやショーなどファッションの楽しさを体験できる内容が好評で、静岡や愛知からの参加もあり、今後も開催を続ける計画だ。