国際色豊かな発信の場に クリエーションのレベル高まる
\台湾・台北で最大級のファッション総合展示会「タイペイ・イン・スタイル2015」(TIS、台湾紡拓会主催)が4月9~12日、開かれた。15~16年秋冬向け。11回目となる今回は、展示会とランウエーショーを合わせて1万5500人が来場した。(岸田紘一郎)
\14年春展から年2回開催となり、ファッションウイークとしての形を整えてきたTIS。今回は7本のショープログラムと115社・95ブースが参加した展示会で、台湾を中心にしたアジアブランドの魅力を発信した。
\ショーは、国内で注目を集めている若手「アシーナ・チュアン」などの台湾ブランドに加え、イギリス文化協会によるジョイントショーや、バンタンとパルコが提携しアジアの若手デザイナーを発掘するプロジェクト「アジアファッションコレクション」がニューヨークでのショーを再現するなど、国際色豊かになった。日本のバイヤーからは、「若手デザイナーブランドを軸にクリエーションのレベルが着実に向上している」との声もあり、台湾だけでなく、海外バイヤーへの発信の場として果たしている役割も大きい。
\展示会の出展者の商品やランウエーショーのシーズンが統一しきれていないという面では課題も残っているが、今回新たに出展者と来場者が交流できるイベントを企画するなど、ビジネス活性化のため挑戦を続けている。
\次回は11月12~15日に開催する。今回はショールームとしての参加だった「PR01.トレードショー」との共同開催となる予定で、さらなる盛り上がりが期待される。
\◇アシーナ・チュアン(台湾)
注目を集めている新進ブランド。デザイナーは84年生まれ、伊マランゴーニ学院卒。「フェンディ」デザインスタジオ勤務を経て、13年に企業からのサポートを得てブランドスタートした。15~16年秋冬は、映画「オズ」からインスピレーションを受けた。得意のクリーンで繊細なムードの中に、物語のダークなイメージやモチーフを混ぜ、二面性を表現した。ダークトーンの中のビジューやベルベットなどの光沢がアクセントに。
◇オースティン・ウー(台湾)
15~16年秋冬のテーマは、現在兵役中というデザイナー自身の〝今〟を反映した「ミリタリー」。持ち味であるシンプルで奇麗なデザインの中に、ディテールや色で少しのミリタリーテイストをミックス。ロングコートは上品さを感じるカーキが目を引き、シャツの袖には兵士が銃を構えているデザインのメタルボタンが光る。台湾の大統領夫人のドレスを手がけたことをきっかけに、新たにドレスのオーダーメードライン「ホワイトレーベル」もスタートする。
◇エス・カボネート(台湾)
セントマーチン卒の男性とアカデミー・オブ・アート大学卒の女性が手がけるレディスブランド。30~50代の大人の女性が対象で、程よい可愛さや遊び心を表現する。15~16年秋冬はオリジナルの生地に力を入れた。レーザーカットで柄を出したワンピースやコートは、ハートのように見える幾何学柄がポイント。生地は日本製が多い。ワンピースで2万円(FOB=本船渡し価格)。
◇ジャスト・イン・ケース(台湾)
07年にスタートしたメンズストリートブランド。15~16年秋冬は「ファストファッションへの反抗」をテーマに、自身の尊敬する著名デザイナーをモチーフにしたグラフィックを、ビッグシルエットのコートやスエットトップにプリントする。レイヤードスタイルの中に、ミリタリーの要素も取り入れた。同シーズンからスタートするレディスラインは、40~50年代のレトロなシルエットを現代風にアレンジしている。
◇ユイ・アテリア(台湾)
パリやロンドンで経験を積んだデザイナーが13~14年秋冬にスタートしたレディスブランド。独特のシルエットと、素材や色使いで表現するコントラストが特徴。デニムのように見えるウールのセットアップは、カジュアルな中にも少し品のあるイメージを出す。
◇ジスター(香港)
香港の姉妹が手がける14~15年秋冬にデビューしたばかりのレディスブランド。オリジナルのポップなグラフィックや柄が満載の元気なカジュアルウエアを揃える。デザイナーの妹は、ロンドンでフォトグラファーの勉強をした経験を持ち、自ら撮影した写真をプリントに使用する。縫製は父親の営む工場で手がける。小売価格でTシャツ70㌦、ワンピース70㌦など。今年1月にはパリのフーズネクストにも出展した。