23~24年秋冬に向け、7月に開かれた国際素材見本市のプルミエール・ヴィジョン(PV)パリ、ミラノウニカ(MU)には、見本市常連の商社・コンバーターを中心にブースを構えた。環境に配慮した原料や製法を取り入れながら、美しさや着心地の良さを両立し、日本素材の強さを見せつけた。生産サイクルが多様化する中、色を付けて在庫を持ち、少量から注文を受ける利便性も支持が強まっている。人気素材から傾向を拾った。
(橋口侑佳、写真=スパイバーは新村真理、東レ、サンウェル、双日ファッションはマルコ・ベルトリ、他は橋口写す)
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エコ素材を多彩な切り口で
サステイナビリティー(持続可能性)が重みを増し、自然環境や動物に配慮した素材が欠かせない。欧米が主戦場のテキスタイル企業にとってはかねてから取り組んできたテーマで、昨今は新しい素材も続々と生まれているが、日本企業も負けていない。独自素材や技術、透明性を確保した原料などを強みに、需要を取り込んでいる。
PVパリが38社を厳選したスマート・クリエーションエリアでは、スパイバーのブースがひときわにぎわった。植物由来の構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」(BP)で3回目の出展。タイ・ラヨン工場でのポリマー量産開始に伴い、ぐっと品揃えを増やした。BPの縮む特性を生かし、シルクと複合したバルキー糸は、量感に反して軽く、表面に浮き立ったシルクが滑らかな肌触りだ。他にカシミヤ、ウール複合がある。
東レはスエード調人工皮革「ウルトラスエード」で、一部植物由来の再生資源を原料にした商品を訴求し、好評を得た。ベースの不織布に使うポリエステルの30%がサトウキビの廃糖蜜由来のため、石油の使用を削減できる。アパレルを想定した薄さの0.6ミリ、靴やバッグ向けにしっかりした厚みの1.4ミリ以上の2種類で、不織布に含浸するポリウレタンを一部植物由来にしたものも。それぞれ20色以上の色見本を揃える。
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