古着店「突撃洋服店」の代表、安田美仁子さんと30年ぶりに会った。神戸店の移転オープンに立ち寄った。
初めて会ったのは、突撃が神戸・旧居留地のレトロな建物、大興ビルにオープンした直後のこと。安田さんは22歳(ちなみに、筆者は繊研入社4年目の若手)。フリーマーケットで得た資金を元手に開店した。名称のユニークさとともに、個性的でアートな感覚の古着が珍しく、注目された。
大興ビルは大正建築の典型的ビルで、その後「ラルフローレン」が入居したりしたが、95年の阪神・淡路大震災で被災、取り壊されることになった。
今でこそ古着店は多数あるが、当時は一般的ではなかった。その頃から扱っていたのは、アート感覚の1点もの。どうやって着るんだろうという服が多かったことを記憶している。
30年ぶりに会っても、安田さんの放つ雰囲気、話し方、考え方は変わっていなかった。いや、変わってはいるんだろうが、彼女が伝えたい核心は何も変わってなかったということ。
オープニングレセプションには、男女、年齢ともばらばらで、いろんな人が集まった。しかも、みな思い思いに自由なスタイリングを楽しんでいる。百貨店やSCには売っていないようなものばかり。
人は知らず知らずのうち、ジェンダーという社会的につくられた性差、企業社会のルールにとらわれ、その枠の中で、服を選んだり、コーディネートしている。それが悪いわけではない、必要なシーンもある。
けれど、本当の自分、本当に似合うものってなんだろうと考えると、もっと自由で広い発想になる。古着の存在価値はここにあるというのが、安田さんの考え方。
50過ぎたおっさんでも、スカートに、透けるブラウス合わせたら、どんな心持になるんだろう、アクセサリーは何がいいかとか、考えると楽しいじゃないですか。
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古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介