シャンパーニュメゾン ポメリーのドメンヌへ(またもや)
2022年 最高の収穫!
小さなパールのように美しいビュル(泡)が天に向かって真っ直ぐらラインを描く。金色がかったシャンパーニュ/シャンパンで満たされたフルートグラス合わせるシーズン。ノエル/クリスマスやハッピーニューイヤーは、みーんなでシャンパーニュを分かち合える幸せな時ですね。
新型コロナの都市封鎖で打撃をうけたシャンパーニュ業界。コロナ禍明けの2022年の出荷本数は、なんと3億3900万本と2007年を抜き過去最高を記録。皮肉なことに数年間(特にこの2年間)のぶどうの不作で生産が追いつかないのが現状で、カーヴ/ワイン屋ではテイスティング会も開けないのです。
そこにステキな朗報_ 2022年のシャンパーニュは収穫量も、そしてブドウの出来も最高〜!とのこと。La vie en rose ラ・ヴィ・アン・ローズがこの地方に戻ってきた。今から「2022」のミレジム(製造年度)が入ったシャンパーニュに大いなる期待をかけましょう!
Experience Pommery エクスペリアンス・ポメリー
2022年の秋こそは、シャンパーニュを作っている友人の畑を久々に歩こうと計画していたのですが、コロナ禍明けの本格的再始動でそれどころではなく、ああ残念。
でもラッキーだったことに、夏にReins/ランスにあるシャンパーニュメゾンで55ヘクタールと最大規模を誇る、ポメリーのドメンヌに顔をだしていたので、少しは慰められたかも。
ポメリーは春から秋にかけて、カーヴに眠るシャンパーニュの中でコンテンポラリーアート展「エクスペリアンス ・ポメリー」を開催するですが、昨年に続き今年もこのアートの「エクスペリアンス 」をして、やっぱりここのカーヴは、エノロジー(ワイン醸造学)と現代アートがそれぞれの香りを放つ唯一無二の空間、と再々確認したのです。
ツーリストの視点からみても、地理的にパリから近いから、気軽にホイと日帰りでも時間的におつりがくるくらい(ちなみにわたしはいつも半日コース)。パリ東駅からTGV(日本でいう新幹線)で40分+車で10分程度(歩いても行ける)で、ポメリーに到着。日本なら通勤圏内と言えるかも。
※昨年、エクスペリアンス・ポメリーをレポートしたので詳しくはこちらでどうぞ。
地下30メートルにあるものは_
116段の階段を下り、地下30メートルのカーヴへ。18キロメートル続くセラーには、なんと2500万本ものシャンパーニュが眠っています。
「エクスペリアンス・ポメリー」は企画展なので期間限定となっているのですが、セラーの空間にいくつかの常設展あり。気温10度、そして湿度98%の地下30メートルの環境に耐えられる彫刻を主とした作品が展示されています。
あくまでもメセナ
「コラボレーション」は言わずもがなマーケティング必須の要素で、協業相手がアートとなるとその場的なメセナがあったりするわけです。これが当たり前の世の中でやはり、ポメリーを所有するベルギー人のヴランケン夫妻の現代アートへのメセナには関心させられるです。
ナタリー夫人は、「私はシャンパーニュメゾンの人間」と断言し、アートに関しては専門家に任せ、メゾンとしては支援に専念。
ポメリーの展覧会に参加したアーティストは、あのDaniel Brun, 川俣正、そしてまたCamille Henrot, Kader Attia, kawと数えきれない。
メゾンポメリーはそもそも19世紀から、ドラクロワやコローやミレ、モネ、ルノワールの絵画を収集し、オルセー美術館などに寄贈してきたのですが、特にランスの国立美術館はポメリーのコレクションなしには成り立たなかったとまで言われています。
2022年の9月に、Y by YOSHIKI x Champagne Pommery Brut がローンチされましたが、「ポメリーがYOSHIKIのためにアッサブラージュ/調合した」とナタリーさんYOSHIKIのシャンパーニュは、シャルドネ、ピノノワール、ムニエの3種類のぶどう)。
この発売の前にナタリーさんとお話した時に、「素晴らしいアーティスト!」とYOSHIKIさんを絶賛してました。Y彼がポメリーのこのドメーヌを訪れた際、ショパンを弾いてくれたそうです。
YOSHIKIのシャンパーニュはブリュット(辛口/1リットルあたり当分15グラム以下)ですが、そもそもこのブリュットを発案したのはMadame Jeanne-Alexandrine Pommery マダム・ジャンヌ=アレクサンドリーヌ・ポメリー、創業者の未亡人。1874年のことでした。
類稀な見学コース!
地下30メートルのカーヴでは現代アート、そして地上では100年前のアール・ヌーヴォーの代表的な調度品を当時の建築で見学できる類稀なコースがあるのです。1906年に建てられたラ・ヴィラ・ドゥモワゼル/La Villa Demoiselle は長い間放置されていたのですが、ヴランケン夫妻の投資で見事に当時の輝きを取り戻しました。
アールヌーヴォーコレクションに囲まれながらシャンパーニュのテイスティングの見学コースは、木曜日から月曜日に開かれています。料金はアプリケーションオーディオ/24ユーロ、ガイド/29ユーロ(https://www.vrankenpommery.com/visites/en)。
自然の恵を享受できるよう環境ファーストの行動を忘れずに、2023年が明るい年になりますように。
乾杯!
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。