東京ブランドの26年春夏向けは、ずれやちょっとした違和感のあるシルエットが広がった。暑い夏でも心地よく、程よく緊張感を持って生活を楽しめるアイテムが充実する。
(須田渉美)
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「オダカ」(小高真理)は、パブロ・ピカソのキュビズムの作品に着想を得て、ニットの物作りの視点を見直した。編み地のねじれやゆがみを表現するかのように、無縫製横編み機「ホールガーメント」でアシンメトリーなフレアドレスやスカート、キャミソールを作った。ふんわりしたドレープがイレギュラーに広がって、動きを作る。キュビズム作品に感じられる多視点性から、1着の服をストライプ構造で再構成する考え方を見いだした。
ポロシャツは縦のストライプを拡張させるように編み、グラフィカルにうねるペプラムのようなシルエットでフェミニンに見せた。下に合わせるのはオーガンディを顔料プリントで縮絨(しゅくじゅう)させたチェックのトラウザー。ゆがんだチェックが柔らかな表情を感じさせる。

「トゥルノン」(谷口りさ)は、春の光に映える素材と色の重なりに着目し、バーミリオン(朱赤)のアイテムを差してコントラストを利かせた。英「リントン」のライトツイードを使ったドレスは、アメリカンスリーブのようなカットで肩を見せる。たっぷり量感のあるAラインドレスだが、アクティブなディテールによって抜け感が備わった。
