東京ブランド23年リゾート&春夏 柔らかさを内包するメンズスタイル

2022/08/10 06:29 更新会員限定


アキラナカ

 東京ブランドの23年リゾートコレクションと春夏コレクションは、メンズのアイテムをベースに、女性らしい柔らかさを表現したスタイルが広がった。クラシックなジャケットやベストが軸となるが、型にはまらない自由な着こなしに、今を生きる女性の姿勢が反映されている。

(須田渉美)

 「人が芸術によって解放されるように、様々な考え方を受容するコミュニケーションツールを担っていけたら」とは「アキラナカ」(ナカアキラ)。リゾートコレクションは、ドイツの芸術家、ヨーゼフ・ボイスの活動から発想を広げ、ブランドの主張を伝えるメタファーを持ったコレクションを作った。前身頃をすっきり整えたテーラードジャケットには、生地をくりぬいたスパンコールをドットのようにあしらう。カットした跡を傷に見立て、「傷は美しさへと変容できる」とメッセージを込めた。デコラティブな主張を感じさせない艶っぽさが新鮮だ。フレアシルエットパンツは、カットレースで傷のような形状と細かいドットを表現した生地を切り替えた。クラフトタッチでモダンさを伴ったエレガンスへ発展させている。

 「ニアーニッポン」(深山拓也、上島朋子)は、トラッド感のあるテーラードアイテムに、色彩やカットの変化を加え、フェミニンなムードで表現した。テーマはフリーマインド。ダブルブレストのジャケットやトラウザーには、ピンク系のチェックのリネン地を使う。ボクシーなフォルムだが、ポケットの位置を高めにして若干のシェイプを入れ、スマートに見せる。先染めのストライプを使ったバンドカラーシャツは、袖の縫い目が肩の付け根から曲線を描くようなパターンにして、女性的な表情を引き出す。伝統的なペーズリーのプリント柄も、京都の手捺染で水彩画タッチの柔らかさを出した。

ニアーニッポン

 ユニセックスのアイテムを一段と広げた「08サーカス」(森下公則)は、テーラードのテクニックを生かし、男性らしさも女性らしさも内包するシルエットのアウターを揃えた。一例はベスト。肩線が張り出したジャケットのフォルムをベースにしたノーカラーのベストは、ボタンを閉じると女性の体にもきれいに沿ってしとやかな雰囲気。コートのフォルムから派生したロングベストは、ラペルが付いて、軽やかにドレープを描く。脇下に通したベルトも、エレガントな余韻を残すアクセントになっている。

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