昨年、一気にホットワードとなったのがDX(デジタルトランスフォーメーション)。だが、誤解はないだろうか。単なるIT化をDXと呼んでいる経営者もいるようだが、Xのトランスフォーメーションは変革を意味し、コスト削減や業務効率化のIT化とは質的に異なるはずだ。広告代理店から、京セラやNTTデータで新規事業を手掛けたTSIホールディングスの今泉純取締役DX戦略部長に、DXの誤解と本来の目指す道について聞いた。
(永松浩介)
〝個人最適〟の非効率
――アパレル業界に遅れは。
TSIがECを始める時に誘われて入ったが、最初に驚いたのは業務のアナログさ。担当者が電話やファクスで取引先とやり取りをしていると、情報は周囲と共有されていないため、当人が休むと業務が滞る。商流全体に関しても、発注情報をファクスし、商社がそれらをデータ入力し、工場も手作業でシステムに入れる、みたいなことが少なからず続いている。もっと気になったのはシステムが非常に作り込まれていた点だ。
――というと。