ユナイテッドアローズの新ブランド「フィータ」は、長く着続けることのできる服を作り、売ることを目指すブランド。「ユナイテッドアローズ」の新宿店、神戸三宮店、横浜店、青山の「Hビューティ&ユース」で販売するほか、他のセレクトショップや百貨店向けの卸売りも行う。立ち上がりの19年春夏は自社を含め、17社67店で販売する。
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ファーストシーズンは、インドの工場と組んで生産した、リバーレースと手仕事のピンタックを駆使したブラウスやワンピースなど23型作った。
中心価格は1万6000~8万円だが、卸売りするセレクトショップ向けには、600メートル分のレースを短く切って手で縫い合わせた27万円のジャケットも売れた。
19年秋冬向けも同工場との協業を継続し、レースやピンタックを軸にした品番を増やすほか、春夏の主力素材の綿やリネンに加え、ウールを使った商品も企画する。アイテム一点ずつに込めたきめ細かい手仕事の技術を武器にファンを増やす考えで、様々な独自技術を持つ国内外の工場や職人との協業を広げる。
神出ディレクターに聞く「UAの次世代スタンダードを作りたい」
「フィータ」ディレクターの神出奈央子さんに狙いと今後の計画について聞いた。
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17年秋冬で終了した「アナザー・エディション」のディレクターだったのですが、それが終わると決まったとき、ブランドを長く続けるには何が必要なのか考え、物作りの現場と直接の結びつきがあって、代表アイテムを持っているブランドが強いのだと気づきました。
例えば「ユニクロ」は「ヒートテック」「ブラトップ」など、あの店に行けばコレという商品があるから強いし、トップ企業になっている。また、メンズではジーンズの赤耳とか、つり裏毛のスウェットなど、古くからある機械で今も作っていることが強みになっているブランドもある。
でも、レディスでそういう代表アイテムがあるとか、古くからある優れた技術が商品の特徴になっているブランドはあまりない。そのとき、かつてお世話になっていたインドのレース工場と組むことを思い立ちました。希少なリバーレースの設備があり、手仕事でピンタックを縫う技術も持っている工場です。
初めから販売量を追うのではなく、職人技を使って良いモノを作りたいという姿勢で工場と組んで、丁寧にその手間や価値がちゃんと伝わる服を作れば、年齢を問わず、価格の理由を認めて、ファンになってくれるお客様を得ることが出来るかもしれない。そう考えたんです。
おかげさまで最初のシーズンからいろんな専門店から受注をいただくことが出来ました。自前で店を出して売るのではなく、卸売りすることにしたのは、受注販売にすれば、オーダー分しか作らず無駄が出ないから。少しずつ定番を増やし、日本以外にも売り先を広げていきたい。
当面、レースを使った商品でブランド認知を上げて、そこから今回組んだインドの工場以外にも優れた技術を持つ工場や職人さんと組んだ物作りで、ユナイテッドアローズという服屋の多様性の一角を担うブランドに育てたい。次の時代に受け継がれるスタンダードを作りたいと思っています。