ビームスでディレクターを務めていた濱中鮎子さんが18年春夏、自身のブランド「Uhr」(ウーア)をスタートする。様々な装いを楽しみ、大人世代に差し掛かった女性が服に求める要素を、自身の経験も踏まえて形にした服で構成する。「シンプルだけれどもディテールに凝っていて、服以外のこともいろいろ分かってきた女性が、楽しめる服」として、専門店向けに卸売りする。
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濱中さんは、販売員、プレスを経て、「レイビームス」のディレクターを3年務めた後、昨年退職した。90年代のストリートブームのファッションを学生時代に楽しみ、その後セレクトショップで仕事としてもファッションに触れてきた経験から、「時間」や「時計」を意味するドイツ語をブランド名に使った。
「東京ストリートのカジュアルど真ん中の時代を過ごして、年齢を重ねるうちに趣味嗜好(しこう)が少しずつ変わってきた。当時の影響はまだ残っているけれど、もう少し女性らしい服も無理なく着たいと思ったときに、ぴったりのものが見当たらず、自分で作ろうと思い立った」と濱中さん。
目指したのは「特別な時より、普段着る、でもカジュアルでもなく、着てきれいな、そして買いやすい値段の服」という。春夏商品として最初に考えたのは、メンズスーツに使われるウールのトロピカルを使ったパンツ。たっぷりと生地を使いウエストをぎゅっと絞ることで、着用時にボリューム感とメンズライクな生地の特徴が、逆に女性の華奢(きゃしゃ)さを演出する。
ベージュのロングスカートは、ポケットの形などにミリタリーの意匠を取り入れているが、ウエスト上部の細かなピンタック、腰から下はギャザーを入れてある。チノではなくタイプライタークロスを使っているので、軍モノっぽい見た目に相反して、裾がふわりと広がる軽さを味わえる。
ブラウスやセーター、カットソートップは身頃をひもや杉綾のテープで絞ることで、着た時のシルエットを自分で変えられるようにしてあるほか、アウターやボトムの裾は裁ち切りのまま縫製していなかったり、サテンにはインディゴを後染めしたり、経年変化を楽しめるディテールを盛り込んだ。
トップで8000~2万円台半ば、ボトムは3万円台。ドレスやコート、ジャケットも3万~5万円台後半。ファーストシーズンの18年春夏は30型。「コレクション全部を好きになってもらうより、気になって選んだ1着を自分のワードローブに加えるような感覚で買ってほしい」と話す。