スイゼンジノリ、桐、お茶の実…。天然系の様々な成分を練り込んだユニークな繊維の打ち出しが目立ってきた。発熱機能を持った肌着などが行き渡るなか、注目を引く切り口で、たんす在庫に無い商品をアピールしようとしている。SDGs(持続可能な開発目標)への開発を背景に、廃棄物の活用で環境対応を訴える狙いもある。素材メーカー主導でなく、アパレルメーカー自らが、オリジナル商品差別化のために開発を進めているのも特徴だ。
(山田太志)
桐たんす製造の留河(大阪府岸和田市)が20年秋に開発したのが桐糸。桐パウダーを和紙に練り込んだスリット(細いテープ状)を撚糸したものだ。たんす製造段階で発生する端材の活用が開発のきっかけ。ポリエステルと複合して強度を持たせ、桐の持つ吸湿性や吸水性を生かした用途開発を進めている最中だ。マスクから製品化、今後はアイソトープ、カスガアパレル、SASAWASHIをはじめ、地元である泉州産地の企業とチームを結成し、ニット、織物分野での拡大を目指す。