青田ユナイテッドヌードジャパン社長 首相にも要望書提出

2020/05/08 06:26 更新


 ユナイテッドヌードジャパンの青田行社長はこのほど、安倍晋三首相に対して新型コロナウイルスに関するファッション小売業の個人事業主としての要望書を提出した。先日、家賃補助などの助成を含む要望書を東京都知事へ提出したのに続くもの。

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 政府に対する要望書の主な内容は、①自粛要請対象業種への追加②資金繰り支援(貸付)のスピーディー化③雇用調整助成金の支給への期間短縮と上限金額のアップ④物件賃料の一部補助――など。この要望書をもとに、個人事業主や業界関係者向けの署名運動を開始することを計画している。

 要望書の全文は以下の通り。

◇  ◇  ◇

内閣総理大臣 安部晋三殿

 私、東京都で小売店を3店舗運営し、全国延べ200件の得意先への卸業を営んでおります株式会社ユナイテッド ヌード ジャパン代表取締役 青田と申します。多くの同業・賛同者を代表しお願い申し上げます。

 現在、弊社をはじめ、全国のファッション小売店の多くは4月7日の緊急事態宣言以降新型コロナウイルス感染予防に協力し、臨時休業を続けております。

 私共ファッション小売店(衣料品・靴など)は現在政府の自粛要請対象業種から外れており、お客様及び従業員の安全、地域での感染拡大を防ぐため、危機感と使命感を持って続けているのが現状でございます。

 かつ、私共は専門家会議等でも人との接触を7割から8割減らす指針に基づくデータを表す際にも用いられる全国の主要都市駅前・繁華街に店舗を構えており、今話題に上がっております飲食店よりも高い家賃で出店しており、例えば私共の表参道1店舗家賃は月額400万円を超えております。

 また、アルバイトの多い飲食業よりも正社員雇用比率も高く、試着時やサイズ合わせ時に近距離での接触を要する対面接客を主とした業種でございます。

 そして、飲食業のように翌日の食材を仕入れるのではなく、約6カ月先までの商品を既に仕入れている業種でもあります。

 かつ、政府主導の働き方改革やクールジャパン等の政策にも積極的に取り組んできた業種でもあり、現在全体の市場規模は10兆円と言われている業界ではありますが、他業種同様に中小零細企業・個人事業主が多数を占める業種でもございます。

 先日5月1日に帝国データバンク社が発表した4月末時点でのコロナ関連倒産件数は109件に上り、業種別に見ますと1位はホテル・観光業、2位は飲食業、3位は我々アパレル小売業となっております。

 そして、先日5月4日に安部首相から5月末までの延長が発表されました。

 私共は安部首相の判断を大きく支持し、この先も出来る限り営業自粛を続けて行く考えでありますが、体力の限界が近づいてきているのも事実でございます。

 厳しくなった小売店がお店を開けてセールを開催し始め「3密」を引き起こす可能性も懸念しております。

 つきましては上記の現状を踏まえ、私共は短期的な視点と長期的な視点にわけて、下記の要望をお願いしたいと存じます。

 1. 自粛要請対象業種への追加

 私共の業種も政府が自粛要請業種に加えて頂けることで各都道府県でも対象追加となり、既に決まっている各自治体の救済策を受けることが出来る小売店が増えると考えます。

 2. 資金繰り支援(貸付)のスピーディー化

 私共は短期的な資金繰りは既に政府の発表にもありますセーフティネット第4号などを活用して手配致します。ただし、企業や地域によっては申請や実施に2カ月以上かかっており、速やかな審査・実行を望みます。

 3. 雇用調整助成金の支給への期間短縮と上限金額のアップ

 私共も社労士にも相談し、この制度を申請しようと準備を進めていますが、既に申請した企業に対して4月末現在支給決定を受けた企業は10%以下となっており、2カ月以上かかっているのが現状。

 弊社も現在、社員に100%給与を支給し続けながら必要書類は準備しますので、速やかな審査・及び8330円の上限を最低1万円まで上げることを希望します。

 4. 物件賃料の一部補助

 人件費と並び家賃は大きな固定費です。短期的な家賃に関しては政府発表の特別融資を活用し支払い続けますが、長期的な視点から考えれば固定費は事業継続していく上で大きくのしかかってきますので、金融機関からの特別融資のうち事業者が家賃に充てた分については、後日国からの一部助成をお願い致します。

 特に住宅確保給付金を受けられる個人や持ち物件の様に固定資産税の免税制度が受けられない賃貸事業主向けへの拡充策は最低限お願い致します。

 弊社では主に婦人靴を扱っており、全体の80%が女性スタッフであり、さらにその半数が小さな子供を育てながら働くママさんスタッフでもあります。

 私共と連絡を取り合っている多くの同業小売店は臨時休業を続けており、皆切迫してきております。

 どうかこの難局に立ち向かい、自主的に感染予防に協力し続けているファッション小売店にも目を向けて頂き、平常時を迎えた時にお客様へ「ファッション」という楽しみを提供し続けることが出来るよう、ご検討の程よろしくお願い致します。

2020年5月6日

株式会社ユナイテッド ヌード ジャパン

代表取締役 青田 行

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