アメリカでファッションビジネスが大変とは全然思わない。すごく戻ってきていると感じる――ニューヨークのショールーム、ザ・ニュースの石井ステラ社長から出てきた言葉だ。ファクタリング(売り掛け債権を買い取るサービス)会社、ヒルダンのゲイリー・A・ワスナーCEO(最高経営責任者)は、「アメリカの主要ラグジュアリー小売業のトップの話から知る限り、売り上げはオンライン・実店舗共に非常に良く、我々がファクタリングと融資をしている450ブランドの大方が、こんなに大量に商品を出荷したことがないと言っている」と話す。劇的な回復の背景、好調な業態とその理由、ラグジュアリー顧客のライフスタイルと購買行動の変化、売れているブランドと商品を追った。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)
バーニーズ、ジェフリー、10コルソコモ、オープニングセレモニー、ハドソンヤードのニーマンマーカスとフォーティーファイブテン、ブルックリンのバードなど、高級店が次々と姿を消した時期から一転、デザイナーブランドとそれを売るショールーム、専門店が好調だ。
V字回復
ニューヨークにいると、目覚ましいV字回復を目の当たりにする。高級レストランが次々オープンし、週末はどのレストランも大勢の客でにぎわう。ビーガンレストランとして再開した高級レストランのイレブンマジソンパークが2年以上予約が取れないとか、新しく開店した、すしレストランで2000~3000ドル使う客が珍しくないなど、景気の良い話が聞かれる。株式市場は昨年以来、おおむね右肩上がりで推移している。劇場は9月に再開し、おしゃれして出かける機会が増えた。
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