《視点》人の「察する力」を生かす

2019/06/14 06:23 更新


 人の働き方を支援するため、AI(人工知能)やITの活用が注目されている。全職種で人手不足は顕著であり、新人やアルバイトに仕事を早く覚えてもらい、即戦力につなげたいという企業の意向もあって、導入検討が活発になっている。

 運輸や物流業では「人の作業の代替」が期待されている一方、「人が作業を行うべき」産業にAIやITをどう使っていくのかは気になるところだ。その典型が高級リゾート宿泊業で、「人のおもてなし」が顧客満足度に直結する。

 AIやITを取り入れ、人が行うべき仕事に集中すべくサポートしている事例を、ハウステンボスと星野リゾートのICT関連担当者が語るセミナーがあった。面白いと思ったのは、星野リゾートが全スタッフが「マルチタスク」に転換し、フロント、掃除、レストラン給仕などをシフト制で行い、専門の職だけをやめたという。個々人の業務シフトを円滑にするために、AIやITを活用しているという。

 要は「パフォーマーであるスタッフが顧客満足を高めること」、そして人だから可能な「察する力に集中してもらう」ことだという。ファッション販売も「客を察する力」がまさに大事。そこをサポートするAI・IT活用が注目される。

(疋)



この記事に関連する記事