最近、レディス市場で東北地方と北海道がじわりと熱い…気がしている。新規出店で狙うエリアの話だ。例えば、この春、ベイクルーズグループの「ドゥーズィエムクラス」が札幌に、アダストリアの「ドットエスティストア」が青森・八戸に新店を開いた。
聞くところでは、ECのデータなどをもとに客の需要を分析した結果、東北や北海道に商機を見いだしたようだ。ドゥーズィエムクラスは北の地域に店舗がなく、顧客からECでチェックした商品を試着してみたいとの声があったと記憶している。ドットエスティストアはオープン初日に長蛇の列ができたといい、複数ブランドの服を一堂に見られる点が注目された模様。周辺には「意外と、おしゃれをしたくても服を買う店がない」らしい。
ECと物流サービスが充実すれば店がなくても客に商品を買ってもらえる環境は整う。しかし、実際にはECと実店舗を併用したい購買心理が強いようだ。そうしたなか、東北には大阪や福岡に並ぶファッションの発信地が少なく、余白がまだあるのかもしれない。
消費が変容し、コストが課題となる今、新規出店は容易でない。しかし、実店舗を求める客が未開拓の地にいる。都心を中心に出店するブランドが郊外や地方に強いセレクト店に商品を卸し、客の期待に応え、潜在客を獲得しようとする例もある。各社の動向に今後も注目したい。
(麻)