サステイナブル(持続可能)な観点からも在庫をなるべく持たず、QRでの最終製品作りが求められる昨今。だが、それは流通の各段階にある程度の生地や副資材の在庫があってこそできる話だ。「追加の見込みなども無く、何を作るのかもわからないのに『よーいドン』でやるQRは、QRじゃない」とは、とある副資材卸の社長。「縫製工場などに副資材の在庫を持ちつつ、減ったらその分を追加すればQRでの対応も可能だろうが、今は流通の中でどこもリスクを取りたがらない」とも。
もちろん、卸にはそうしたリスク機能が求められるだろうが、業界が縮小している局面で、卸だけに従来と変わらないリスク機能を要求するのは酷だろう。卸にある程度の利幅があったからこそ多くの在庫を持てていたのであり、縮小する中ではどうしても事業規模や利益に合わせた在庫水準にならざるを得ない。
こうしたことは、テキスタイルでも同様。国内生産能力の減少など、コロナ禍を経て物作りを取り巻く環境は大きく変わりつつある。それを踏まえた上での企画スケジュールや、産地との取り組みが求められているのではないだろうか。
(騎)