《視点》にぎわいの維持

2023/06/08 06:23 更新


 SCににぎわいが戻っている。売り上げを順調に伸ばしているところも少なくない。

 一方で物価の高騰が止まっていない。指標に示されるのもそうだが、日々の買い物の中で実感されるところ。電気代などすでに高くなったと感じているのに、これからさらに上がるものもある。それでも購買意欲はそれほど減退していないように映る。コロナ下での我慢を取り戻したい気持ちの表れといったところだろう。

 その「気持ち」は、コロナ下で使うことができずためていた分に支えられているとされる。旅行には行かなかったし、外出の機会が減り、お店で飲むことがなくなっていたから、それが今の物価上昇に抗する力になっているというわけだ。そうであるならば、やはり今の活況がそう遠くないところで続かなくなる懸念がつきまとう。

 23年春闘では労働組合はもちろん、政府も経営者側もベースアップに言及、賃上げが焦点になった。結果はどうだったろうか。物価高騰のもと、増えたと実感できる層は少なそうだ。物価に見合う収入による好循環を実現し、にぎわいの持続可能性を高めるため、賃上げをさらに広げることが求められるのは間違いない。

(光)



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