「DXはシステム導入だけでなく、企業文化の変革がセットになる」と話すのは、シューズ中心のレディスブランド「ランダ」を運営するジェイ・ビーの光岡利久社長だ。同社はコロナ下の顧客の変化に対応するため、社長自らが先頭に立ってデジタル戦略を推進。現場で働くスタッフのマインドセットを変え、ECと店舗の両方で高いレベルの顧客満足へとつなげている。
購買動向が一変
コロナ禍当初、外出制限や店舗休業などで実店舗の客足は激減した。強い危機感を抱いた光岡社長はECチームを指揮してウェブ広告や施策に注力。自社ECの売上高は前年比1.7倍に拡大した。
一方、店舗休業が明けた20年6月には実店舗の客足が回復、休業の反動もあって過去最高売り上げを記録した。足のサイズは朝と夜で変化したり繊細なため、試着や接客のニーズが根強く、店舗で購入したい客が多いことも実感した。
そして、「顧客の購買動向は一変した」という。店舗からの週報などでは「SNSやECサイトを見て店にきたというお客が急増している」という報告が相次いだ。「ここまで多いのか」と衝撃を受けるほどだった。
オンラインでもリアリティ追求
店舗の果たす役割は不変だが、消費の起点がECやSNSにシフトしたことを肌で感じた光岡社長は、OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略が不可欠という考えに至る。しかし、当時の同社のECは「商品を並べているだけ。ただのウィンドーのような作りだった」。
そこで目指したのは「実店舗のようなリアリティあるコンテンツが揃ったEC」だ。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoのサービスを導入。同社が特に注力していたインスタグラムのIGTVなどの動画・接客コンテンツをサイト上に表示できる機能のほか、商品詳細ページにスタッフが商品についてのコメントを記入できる機能を搭載。スタッフスタイリングの機能も導入し、販売スタッフの身長のほか、足長や足幅、普段の靴のサイズ、甲の高さといった、シューズならではの情報とコーディネートを発信できるようにした。
ECの滞在時間を伸ばすため、商品の魅力をわかりやすく伝える動画制作にも取り組んでいる。21年秋冬の「雲の上の履き心地」コレクションから取り組み、22年春夏「フラワー」コレクションでも実施、回を追うごとにサイト滞在時間が大幅に増えた。
結果、全社売上高に占めるEC売上高比率が、これまでの18%から27%にまで高まった。一方で、スタッフへの共感や信頼が高まったことで販売員の接客目当てに来店するお客がさらに増え、「ECと実店舗がつながり、顧客満足を最大化している」と手応えを見せる。
店頭でサイズや色の在庫がなかった場合などにEC在庫を引き当てて客に配送し、売り上げは実店舗に計上するといった、実店舗とECの連動も効果を発揮。在庫切れによる販売機会ロスや付帯業務の削減と、客の利便性向上を両立している。
好循環が生まれるには
もっとも、こうしたツールはただ導入するだけでは成功しない。実際に活用する現場の販売員がいかに自分事にできるかがポイントになるからだ。
光岡社長はブランドの方向性について社内で説明を重ねたという。「ランダ」はケミカルシューズとしては高価格帯に位置する。ECや店舗といったチャネルに関係なく、高いレベルでの接客やコミュニケーション、さらに楽しさや面白さを実現したい…。デジタルを活用する目的を繰り返し説いた。
トップ自らが顧客の変化を追い、目指すべき方向性と施策を明らかにすることで、販売スタッフの意識も変化。次第に現場からの提案も増えていった。
たとえば「インスタライブに関わる販売員同士の関係性を高めるために懇親会の場を増やしたい」というもの。リアリティが表現できるライブでは職場の雰囲気なども伝わりやく、それも含めてブランドを好きになってもらうには、良好な人間関係を構築する必要があるという意図だ。社内のコミュニケーションも活発になり「好循環が生まれた」という。
光岡社長は「我々にあったデジタル戦略を探り、自分たちの意思で改革していくことが問われている」と強調する。今後はデジタル接客に携わる販売スタッフの評価制度の導入も見据える。「ビジネスに数値化できないものはなし」を信条に、個人、チームそれぞれの単位で指標を設定し、インセンティブなどを検討している最中だ。
また、LINEを活用した会員証機能のほか、ミニアプリなどを活用して「来店客がウェブに簡単にアクセスして、リッチな情報に触れることができる“店舗DX”にも力を入れる」方針だ。 “今どきのコンテンツ”を深掘りし、それを店舗やECを問わずにお客様に伝えていく―。それがDXに取り組む理由だ。
RANDAが活用するvisumoとは
visumoはブランディングや商品訴求を強化するビジュアルデータを一元管理するビジュアルマーケティングプラットフォームです。 2017年にサービスの提供を開始。国内で400社を超える企業が利用している。
スマートフォンデバイスの普及と進化、またネットワークインフラの発展により、リッチなコンテンツが増えています。”読む”だけでなく、無意識に”見る”ということから生み出す顧客体験を信じ、ビジュアルマーケティングを推進している。
- インスタグラム上のUGCや公式投稿、アンバサダー投稿などを活用する「visumo social」
- ECサイトの動画コマースを推進する「visumo video」
- アンバサダーやスタッフが投稿できる専用ツール「visumo snap」
- ノーコードで商品ページを充実させる次世代CMS「visumo comment」
お問い合わせ先
株式会社visumo https://visumo.asia/
株式会社ジェイ・ビーが導入する動画掲載機能はこちらから https://visumo.asia/video_commerce
商品についてのコメントが記載できる機能はこちらから https://visumo.asia/visumo_snap