知性ある女性にふさわしいシューズを作りました--。婦人靴の企画・開発に取り組むザ・グランドインク(東京)は、17~18年秋冬に向けて国産のレディスシューズ「ロランス」を立ち上げた。ベーシックモデルに専念して科学的に履き心地を高め、品のあるたたずまいやシルエットにオリジナリティーを出す。
(須田渉美)
「時代の変化に対応力があり、日本人の女性が履きやすいと感じられるフィッティングに向き合って物作りを続けたい」と、ディレクターを務める森謙介ザ・グランドインク代表。
セレクトショップで販売を経験した後、国産のレディスシューズのデザインチームに携わった。その中で現状のマーケットに欠けている要素を見いだし、独自の美意識を反映してロランスの立ち上げに至った。
婦人靴のモデリストと組んで企画・開発しており、実際に複数の女性の足型を測定し、オリジナルの木型を起こしてデザインと履き心地の両立を検証している。トレンドを反映した装飾に頼ることなく、「プレーンで立ち姿がきれいに映える、価値あるものを出していきたい。革製の本底など材料の質にもこだわって、心が豊かになれる靴」を目指す。
足指の長さを感じさせて安定感のあるカッティングに
デビューに際しては、合計6型を揃えた。ポインテッドトウのパンプスは、85ミリ、65ミリヒールを揃え、足指の付け根が見えるフロントラインを維持してサイドラインを引き上げるカッティングで安定感を出す。
チャンキーヒールのパンプスは、アーチを支える構造を配慮した木型で55㍉と75㍉のフレア形のヒールを採用、かかととつま先にはクッションも入れている。
安定した履き心地を大事にした40ミリのウェッジヒールは、小ぶりの形状のヒールを設計して品の良い印象に仕上げた。バレエシューズは大人の顔を念頭に、若干スクエアがかったトウライン、フラットではなく20ミリヒールを合わせてきちんと感を出す。程良い肉感のある牛革を選び、一枚仕立てで上質な外観を際立たせた。
3万7000円から4万2000円。イタリア製などインポートブランドに並ぶ価格帯だが、「色の表現、素材の選択、端正な横顔のシルエットなど、自分たちの姿勢を丁寧に伝えるコミュニケーションを通じ、購買に結びつく信頼関係を築いていきたい」という。
一度出したモデルは継続して扱い、靴箱のデザインも美しく仕上げている。販路は、百貨店の婦人靴売り場やセレクトショップなどで、一定の品揃えができる売り先を開拓する考えだ。