パリ・オートクチュールの世界で活動を続けるデザイナー、中里唯馬さんのクリエイションと物作りを紹介する展覧会「ユイマナカザト展―砂漠が語る宇宙と巨大ナマズの物語は衣服に宿るか」が2月3日、六本木ヒルズ森タワーの東京シティビューで始まった。
前半のセクションでは24年春夏「UTAKATA」、24年秋冬「UNVEIL」のコレクションの一部やマテリアルを紹介。後半は、1月29日にパリで発表した25年春夏「FADE」の全ルックを展示し、環境負荷を抑えた物作りやテクノロジーの詳細を説明する。
見どころの一つは、22年にパートナーシップを締結したセイコーエプソンの技術によるテキスタイルの進化だ。デジタル捺染技術は、これまでグラフィックデータをもとにグラデーションの色彩などを出していたが、中里さんが撮影した砂漠の写真と海の写真を重ね、AI(人工知能)による画像処理も行い、風化していくような幻想的なプリント柄を表現した。
また、古着などから水をほどんど使わずに繊維化するドライファイバーテクノロジーを発展させ、不織布シートを加工した革小物を制作した。オートクチュールのショーで着用した帽子、スニーカー、ブーツを商品化し、会場内では販売も行う。2月16日まで。
東京シティビューでは同時に、中里さんがディレクションした衣装などを展示するイベント「天空を纏(まと)う」を開催している。