「ペットの健康に良くない物が売られている」。コロナ禍に犬を家族に迎えた女性がペット用品の劣悪さを知り、ゼロからドッグシャンプーを開発した。生産ロットの壁を乗り越えて販売にこぎつけ、今は人も使える高機能マットなども開発している。ペット用品ブランドの「ユリックス」。手掛けたのは高野モナミさん。
(ライター・中村善春)
ボルゾイ犬を飼って購入したペットフードやペットシャンプーの使用成分や表示を見て驚いた。「植物由来」や「無添加」など安全性をイメージする内容をうたっていながら海外では発がん性物質として規制されている成分が含まれていたからだ。中には成分表示がない物もあった。「一匹の犬さえ幸せにできないのは情けない。良い物がないなら作るしかない」と動き出した。
「趣味の延長」から
現在、日本ではペット用フードやシャンプーの製造基準は農水省のペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)、動物用医薬品等取締規則が定められているが、「雑貨扱いで安心できないものが少なくない」といわれる。
高野さんの本業は占い。多数のメディアにも出演し、30年の実績がある。電話占いの会社を経営し、FMラジオで番組を持つ傍ら顧客に芸能人も多いエステサロンを経営しており、薬剤や成分表示の知識があった。「趣味の延長」からスタートしたシャンプーの開発は知人のエステ関係者や獣医を訪ね、専門的かつ高度な知識を持つ工場に相談して製薬会社の協力を得て試作を重ねて完成にこぎつけた。開発過程でトリマーの手荒れがひどい原因の一つがシャンプーと知って開発に熱が入ったという。

ただ、販売は生産ロットが大きく、難しいとあきらめた。しかし、肌の弱い犬を飼う知人にプレゼントしたところ販売希望が多く、「本当に良い物を作って愛犬の健康、長生きを手助けしたい」「〝可愛い〟〝キレイ〟だけでなく、〝家族の幸せ〟を応援しよう」と考え直して23年3月に新会社を立ち上げた。
犬も人も心地よく
スタートから3年、現在はペット用シャンプーや首輪、リードのほか、ペットと人の幸福、ウェルビーイングをブランドテーマに掲げて人も使用する商品にも提案が広がっている。開発コンセプトは「犬も人も心地よく、美しく、幸せに」で、ペットと人が安心安全に使える上質な商品、犬と人が健やかで快適に暮らせる未来を描く。
代表商品はからんだ毛玉がほぐせて潤いが増すドッグシャンプーシリーズやケアミスト、鉱石の特殊繊維を使用し、体圧分散の特殊メッシュのリカバリーマット、軽く柔らかく、植物タンニンなめしのイタリアンレザーを採用し、テラヘルツや鉱石のリカバリー効果も加えた首輪とリード(実用新案取得済み)などだ。

マットはペットだけでなく、高齢者や車椅子用のほか、ドライブや事務作業時、さらに災害の避難時などでの使用も想定しており、血流速度を高めてリカバリー効果があり、冷房対策や通気性(むれ防止)を備え、長時間使用しても快適だ。使用素材や使用成分にこだわるとともに犬種や体重によってマットにかかる荷重を検査するなど、品質と安全性を徹底している。加えて首輪と同素材のレザーバングルはフルオーダーメイドで色やネームデザインが選べるなど「家族の服を選ぶのと同じように楽しめるファッション性にもこだわっている」。

製品の改善、機能性の向上にも力を入れている。今2月には乳酸菌、ヒト型セラミド、プロテオグリカンなどを配合した高機能ドッグシャンプー&ミスト「プレミアム肌育ドッグシャンプー」「プレミアムうる艶ドッグミスト」などの商品を発売する。並行してニーズの深掘りも狙って審査委員に外部の専門家を招いてシャンプーの泡立ち・仕上がりを競う「シャンプーコンテスト」を3カ月ごとに開いている。
販売は現在、自社サイト、オンラインストア、提携動物病院など。今後はファッション分野などの開拓を目指す。協業も対応し、受注ロットの負担や店頭在庫を軽減するために、売り場で注文を受けてから発送する「無店舗・無商品の供給システム」を構築し、協業品を同社が管理して個別ニーズに対応する体制を設ける。
なお、収益金の一部は保護犬の施設に寄付している。
