今日から東コレ18AW 注目の若手に聞く、ブランドの今

2018/03/19 04:30 更新


吉田圭佑(左)と村上亮太

 「アマゾン・ファッション・ウィーク東京18年秋冬」がきょう開幕する。渋谷ヒカリエ、表参道ヒルズを主会場に、24日まで59ブランドがランウェーショーやプレゼンテーションを行う。冠スポンサーのアマゾンジャパンの主催イベント、20の初参加、ここ数シーズンで頭角を現した若手ブランドにも期待が集まる。

 パルコ支援の合同ショーなどを経て、それぞれ単独で新しい道を進む「ケイスケヨシダ」の吉田圭佑、「リョウタムラカミ」の村上亮太に、今回のコレクションにかける思いを聞いた。二人がコレクション制作しているファッションの物作り施設「アンドメイド北参道」を訪ねた。

――ブランドの今と、今考えていること。

 吉田 これまではカルチャーとして若い子の視点で作ってきて、お客さんも若い人が多い。それが僕の強みで、顧客との距離が近いのが武器だと思っています。でも今回はもう少し幅広い層に見てもらいたい。僕自身が大人になってブランドも年を重ねて、テーマとして大人に向かい、エレガンスの方向を意識しています。今季は大きなスポンサーもなく予算も少ないので、ショーをするハードルは一つ上がっているけれど、次の一歩としての発表をやってみようと。

 村上 僕も、買ってくれるのは20代前半の若い人が多いです。前回のコレクションから、それまで母と二人でやっていましたが、僕一人でデザインするようになりました。母は服の構造を無視したようなデザインをするので、それが面白いクリエイションになっていたんです。前回は一人ですごくもがきましたが、〝ファッション言語〟で作ろうと決め、イヴ・サンローランや80年クチュールをテーマにしました。今回は、母と一緒にやっていたのがリョウタムラカミらしさと思われていたのを、僕の僕らしさとして打ち出したい。自分の手のクセとかを表現したい。

「新しいものに向き合う」

――応援団は若い人たち。

 吉田 僕と村上君の近いところは、自分のコンプレックスや感情、記憶からテーマが始まること。それを村上君はニットなどテクスチャーで表現してきたし、僕は中学生の姿とか装いそのもので出してきた。そういう部分に若い人が共感したり自分と重ねて見てくれたりするんだと思う。それは今の洋服屋に入っても出会えない感覚。二人とも展示会を一般にもオープンにしていて、そこで生まれるコミュニケーションで得るものは大きいです。僕はシーズンごとにけっこう作風を変えるんですが、何で変わったのか聞いてくれるお客さんもいて、話すことでまた買ってくれたり。

 村上 マスではないけれど、ファッション大好きな人たちには見てもらっていると思う。取引先が増えて売れるものも必要になってきたけれど、強いアイテムを求める人はずっといるんです。

――ランウェーで発表する意味。

 吉田 モードに興味を持ったときから、ランウェーがファッションの表現として最も優れていると思っています。初めてファッションショーを見たときの衝撃。新しいファッションが出てくる瞬間は、すごく心が動いた。若いお客さんたちにもファッションの熱量を体感してもらえる場として、絶対に意味がある。

 村上 ファッションショーの空気と、〝しばり〟もすごく好きです。例えば大喜利にお題があるように、作る側からすれば、そこが面白い。ファッション好きとしては、そこで行われていることが全てだと思っています。

――これから目指すもの。

 村上 パリコレの舞台に出たいというのが、中学生のころから変わらない目標です。今回、8回目のコレクションですが、毎回こういうことにチャレンジしよう、こう変えてみようといろんなものに挑戦していて、そのたびに見つかるものがあります。その積み重ね。僕はどちらかというと、センスのいいタイプのデザイナーじゃないし、トレンドで作ることもできない。でも、だからこそ作れるものがあるし、そこが自分らしいところだと思っています。どうやったら追いつけるか。世界で戦うには、自分の作り方を見つけないといけない。

「自分らしくどう戦うか」

 吉田 そのときに新鮮だと思うこと、そのときの自分の感情みたいなものに素直に向き合って物作りしたいと思っています。これが面白い、これを信じようと全力で向き合いたい。見た人に新しいと思ってもらうには、自分も新しいものに向き合わなきゃいけない。ファッションだけじゃなくいろんな目線で追いかけていきたい。今はショーが一番適していると思っていますが、もっと別の表現がしたいと思ったときにそれができる規模のブランドになっていきたい。

 村上 僕の理想のショーは、みんなが笑顔であること。カッコイイ笑いと感動が両立するショーです。

 吉田 市場には似たり寄ったりの商品が増えました。そんなことよりも、表現したいことで作って、共感してくれる人が増えたら成長できると夢見ています。それは、時代が変わっても変わらないことなのでは。誰も見たことのないものを作るために自分たちがどれだけもがくか。だから、その時に思っていることを全力でやるのが大事なんじゃないかと思うんです。



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