シンガポールのシューズ&バッグ「チャールズ&キース」を輸入販売するチャールズ&キースジャパンは、付加価値の高いショップ体験を成長の柱に位置付ける。旬のトレンドが反映されたデザイン、手頃な価格帯に、幅広い客層がファッションを楽しめるコミュニケーションを伴なった接客をブランド価値の向上につなげる。
【関連記事】「チャールズ&キース」 渋谷に路面の旗艦店をオープン
ジャパン社は昨年12月に表参道店、今年2月に渋谷店とグローバルの旗艦店を立て続けに開設した。ともに近隣にあった店舗から、人の通行量の多い通り沿いへと移転し、グレードアップした。結果、渋谷店は入店客数が40%増加するなど、ブランドを知らない客の入店が増えている。表参道店は、青山エリアから原宿エリアへとウインドーショッピングする客が入店する傾向が見られる。ラグジュアリーブランドとは異なる買いやすさが決め手となって購入率は高い。2店ともに移転後の売り上げは30%近く伸びている。
他に23年は横浜ジョイナス店など、合計9店を出店。22年末に合計10店だった直営店数は19店となり、「均一なクオリティーのサービス」が問われている。さらに意識するのは「スタッフが商品を通して何を提供できるか、感情に働きかける接客」だ。そのため、昨年からリテールオペレーションを専門にする人材を起用して接客トレーニングやVMDの指導を強化している。商品陳列の見せ方はラグジュアリーブランドと同様だが、「時間をかけた接客は必要とされていない。短時間で楽しく買い物ができるように手助けすること、手に届くトレンドアイテムに挑戦する気持ちを誘い出す距離感が大事」という。
円安の影響で、秋冬向けは1万円を超える商品が増えた。単価が上がって購入を踏みとどまる消費者は以前より増えているため、消費意欲を起こす店頭のコミュニケーションが売り上げ増のカギを握る。新商品の投入は2~3週間に1度のペースだが、VPの見せ方は週一回変えている。
都心店は、平日でも常時7、8人が接客できる販売体制を組んでいる。外国人観光客の来店も多く、渋谷店、表参道店は購入者の30%、心斎橋店は50%がインバウンド需要だ。「日本人の丁寧な接客を受けたい」と期待も高まっている。