子育て中のママを対象としたオンラインコミュニティーが相次ぎ生まれている。ユーザー同士の交流の場を設けることで、会員データでは見えない潜在ニーズを発見し、事業に生かすことが主な目的だ。乳幼児を育てるママは、子育ての悩みを抱える人が多く、人とつながりたい思いが強い。オンラインコミュニティーはクローズドな環境のため、SNSと比べて安心感があり、本音が出てきやすいとして、企業へのエンゲージメント向上にも期待する。
(金谷早紀子)
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阪急うめだ本店 全事業部が関与
阪急うめだ本店は、百貨店の中でもママ施策の先駆者として、リアルイベントやSNS発信に取り組んできた。しかし、コミュニケーションが一方通行になりがちだったり、カード会員の分析だけではリアルな消費行動がつかめなかったりするため、オンラインコミュニティーを立ち上げた。妊娠中のママを百貨店と接点を持つ重要なエントリー層と位置付けており、全館挙げてコミュニティーに関与することが特徴だ。
コミュニティーサイト構築のコミューン(東京)と組み、9月にスタートした。メールアドレスを登録すると、関心ごとにまつわるスレッドが立てられたり、人の投稿にコメントやリアクションができる。交流が活性化するよう、阪急側が「自己紹介」や「最近買ったもの報告」「時短スケジュール」などのスレッドを立てているほか、ユーザーからも「七五三の写真の撮り方」「内祝いギフトのオススメ」などが投稿されている。主軸となって運営するのは、OMO販売推進部ストアUX推進部のマネジャーママ子育てUX推進担当の若狭智世さんチーム。同店の全11事業部(ファッション、服飾、リビング、趣味雑貨、フードなど)にも担当者を置き、主軸のチームや催事チームと連携しながらコンテンツを充実する。例えば、リビング担当のスタッフが相談内容に応じた商品を紹介したり、ECのリンクを紹介するなど、百貨店ならではの幅広い提案力を売りにする。
現在の会員は300人。9月は、会員限定のトークショーや撮影会を開催して登録を促した。今後は入卒商戦に合わせ、婦人服、子供服、ウェブサイトやコミュニティーなど複数の事業部、メディアを絡めた販促にも挑戦する。